「いま何に投資をしようか迷ってしまう」方もいらっしゃるかもしれません。「迷ってしまう理由は、(戻りが出ている)株価を見ているから」であるように思えます。
以下に整理してみましょう。
今後の局面を整理する
われわれは現在を含め、次の3つの局面を迎えると考えられます。
- 景気後退が来るまでの局面:「戻り」が付きもの(ベア・マーケット・ラリー)
- 景気後退:ディスインフレ:利下げ・金利低下
- 景気回復:インフレ:金利上昇
現在は「1:景気後退が来るまでの局面」に立っているわけですが、その「マス目」からのポートフォリオの運用を考えると、「2:景気後退」と「3:景気回復」でワークする資産をバランスよく持つことが、ポートフォリオに良好なリスク・リターンをもたらすと考えられます。
理由は3つあります。
「『1:景気後退が来るまでの局面』=足元の動きを無視すべき理由」
1つ目の理由として、「資産運用は長期目線が基本」であることに立ち返ると、「1:ベア・マーケット・ラリー」や「2:景気後退」はつかの間の出来事であり、これらよりもずっと長い「『3:景気回復』をしっかり取ることが資産運用そのもの」です。
2つ目の理由として、「2:景気後退:ディスインフレ」と「3:景気回復:インフレ」は、好対照な事象であり、この2つに備えられれば、たいていのことは乗り越えられます。
3つ目の理由として、「1:景気後退が来るまでの局面」で必ず起きる(と言ってよい)ベア・マーケット・ラリーは、結局「ダマシ」であり、「短期筋が仕掛けてそれに乗った人が損をするだけに終わるもの」です。
「2:景気後退」が来ないなら、「3:景気回復:インフレ:金利上昇」に向かう
ここで反論があるとすれば、「『2:景気後退』が来なかったなら、どうするのか」ということでしょう。
「『2:景気後退』が来なかったなら、労働市場はひっ迫したままですから、『3:景気回復:インフレ:金利上昇』に向かいます」。いつもお伝えしているように、気候変動・米中分断・格差是正・労働力人口の減少・貨幣発行といった長期的なテーマはいずれもインフレを示唆しています。
「2:景気後退:ディスインフレ」が来なければ、「3:景気回復:インフレ」ですから、「2」と「3」に備えられれば、問題は起きません。合わせて、景気後退までに時間がかかる場合には「3:景気回復:インフレ」のポジションで対応できます。
「株価を見ていると景気後退を忘れてしまう」かもしれませんが、たとえば、新規失業保険申請件数の増加を見ていると、景気後退はやってくるように見えます。
どうすれば?:債券も持ちつつ、実物資産や割安株式にも分散
以前にもお伝えしたとおり、パターンとしては「株式→商品→債券→ゴールド」の順番で動きますので、次は「債券」の番です。
長めの「1:ベア・マーケット・ラリー」に備え、ある程度の利回りを得ながら、「いざ」というときに下値を抑制するには、米国ハイ・イールド債券が一案です。
また、「3:景気回復:インフレ」では、コモディティやゴールド、リートなどの実物資産に加えて、割安株式がよいでしょう。
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