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なぜ「いま何に投資をしようか迷う」のか/景気後退とインフレに備えるには(フィデリティ投信 重見吉徳氏)

記事公開日 2022/8/24 12:00 最終更新日 2022/12/14 19:02 米国・欧州 米景気 インフレ 米金利 フィデリティ 米株 海外株

「いま何に投資をしようか迷ってしまう」方もいらっしゃるかもしれません。「迷ってしまう理由は、(戻りが出ている)株価を見ているから」であるように思えます。

以下に整理してみましょう。

今後の局面を整理する

われわれは現在を含め、次の3つの局面を迎えると考えられます。

  1. 景気後退が来るまでの局面:「戻り」が付きもの(ベア・マーケット・ラリー)
  2. 景気後退:ディスインフレ:利下げ・金利低下
  3. 景気回復:インフレ:金利上昇
     

現在は「1:景気後退が来るまでの局面」に立っているわけですが、その「マス目」からのポートフォリオの運用を考えると、「2:景気後退」と「3:景気回復」でワークする資産をバランスよく持つことが、ポートフォリオに良好なリスク・リターンをもたらすと考えられます。

理由は3つあります。

「『1:景気後退が来るまでの局面』=足元の動きを無視すべき理由」

1つ目の理由として、「資産運用は長期目線が基本」であることに立ち返ると、「1:ベア・マーケット・ラリー」や「2:景気後退」はつかの間の出来事であり、これらよりもずっと長い「『3:景気回復』をしっかり取ることが資産運用そのもの」です。

米国:平均的な景気後退の期間

2つ目の理由として、「2:景気後退:ディスインフレ」と「3:景気回復:インフレ」は、好対照な事象であり、この2つに備えられれば、たいていのことは乗り越えられます。

3つ目の理由として、「1:景気後退が来るまでの局面」で必ず起きる(と言ってよい)ベア・マーケット・ラリーは、結局「ダマシ」であり、「短期筋が仕掛けてそれに乗った人が損をするだけに終わるもの」です。

2000年前後のS&P500

「2:景気後退」が来ないなら、「3:景気回復:インフレ:金利上昇」に向かう

ここで反論があるとすれば、「『2:景気後退』が来なかったなら、どうするのか」ということでしょう。

「『2:景気後退』が来なかったなら、労働市場はひっ迫したままですから、『3:景気回復:インフレ:金利上昇』に向かいます」。いつもお伝えしているように、気候変動・米中分断・格差是正・労働力人口の減少・貨幣発行といった長期的なテーマはいずれもインフレを示唆しています。

「2:景気後退:ディスインフレ」が来なければ、「3:景気回復:インフレ」ですから、「2」と「3」に備えられれば、問題は起きません。合わせて、景気後退までに時間がかかる場合には「3:景気回復:インフレ」のポジションで対応できます。

「株価を見ていると景気後退を忘れてしまう」かもしれませんが、たとえば、新規失業保険申請件数の増加を見ていると、景気後退はやってくるように見えます。

米国の新規失業保険申請件数

どうすれば?:債券も持ちつつ、実物資産や割安株式にも分散

以前にもお伝えしたとおり、パターンとしては「株式→商品→債券→ゴールド」の順番で動きますので、次は「債券」の番です。

さまざまな資産価格の動き

長めの「1:ベア・マーケット・ラリー」に備え、ある程度の利回りを得ながら、「いざ」というときに下値を抑制するには、米国ハイ・イールド債券が一案です。

2000年のITバブル崩壊後と2007-08年の住宅バブル崩壊後の米国株式と米国ハイ・イールド債券

また、「3:景気回復:インフレ」では、コモディティやゴールド、リートなどの実物資産に加えて、割安株式がよいでしょう。

米国のインフレ率と米国リートと米国成長株式の相対価格

米国のインフレ率と先進国・割安株式と成長株式の相対株価

 


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著者名

フィデリティ・インスティテュート マクロストラテジスト 重見 吉徳

20208月、フィデリティ投信入社。農林中央金庫や野村アセットマネジメントにて外国債券の運用に従事。アール・ビー・エス証券にて外国債券ストラテジストを務めた後、2013年に J.P.モルガン・アセット・マネジメントに入社。個人投資家や金融機関、機関投資家向けに経済や金融市場の情報提供を担う。昭和の歌が好き(演歌・洋楽を含む)。


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