【日経QUICKニュース(NQN)】世界銀行は15日、新たな研究報告書でインフレ抑制に向けた各中央銀行による利上げを背景に、2023年にも世界的な不況に陥る可能性があると警鐘を鳴らした。新興国では永続的な損害を与える金融危機が連鎖する可能性があるともみている。
報告書によると、世界の中銀は過去50年でみられなかったペースで一斉に政策金利を引き上げており、この傾向は来年以降も続く見通しだ。一方、インフレ率を新型コロナウイルス禍前の水準に戻すには十分ではなく、一段の利上げが強いられれば景気後退(リセッション)を招くリスクがあると指摘。金融市場のストレスが高まる場合には、世界の国内総生産(GDP)伸び率が23年は0.5%に鈍ると分析する。
世銀のマルパス総裁は発表資料で「世界経済の成長は急激に減速し、より多くの国がリセッションに陥れば一段と減速する可能性が高い」と指摘。「深く懸念しているのはこうした傾向が新興国に壊滅的な影響を与えることだ」としたうえで「政策としては成長と貧困削減に不可欠な追加投資を生み出し、生産性と資本配分を改善することを目指すべきだ」との認識を示した。