米欧の中央銀行が取り組む利上げの見通しについて、市場参加者の見方が金融引き締めに積極的なタカ派に一段と傾いている。QUICKが3日発表した9月のQUICK月次調査<債券>で、米連邦準備理事会(FRB)が利上げを終了するときのフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標上限を聞いたところ、平均値が4.55%だった。7月調査の同じ質問では平均3.52%で、2カ月で1%強上昇した。
利上げが終了するときの政策金利の水準(単位:%)
利上げ終了の時期についても予想は後ずれしている。7月調査では全体の4割あまりが22年12月と予想していたが、最新の調査では23年3月との予想が最多になった。
欧州中央銀行(ECB)に対しても同様の質問をしたところ、預金ファシリティー金利の平均値は7月調査が1.13%、今回9月調査が2.42%と大幅に上昇した。利上げ終了時期はFRBと同様、今年12月から来年3月に後ずれした。これに伴い、長期金利の指標となる10年物国債利回りは平均で、米国が4.3%、ドイツが2.7%まで上昇すると予想されている。
一方、金融緩和を維持する日銀の年度末までの金融政策については、90%が「現状維持」を予想した。黒田東彦総裁の任期中は政策変更はないとの見方が大勢のようだ。また、緩和縮小に向かう場合の具体的な手段を複数選択可で聞いたところ、「政策金利のフォワードガイダンス修正」が58%と最も多く、「長期金利ターゲット変動幅拡大」が48%で続いた。
調査は9月27〜29日にかけて実施し、債券市場関係者120人が回答した。