【NQNロンドン 菊池亜矢】フランスの高級ブランドLVMHモエヘネシー・ルイヴィトン株が戻りを試している。10月18日の終値は636.10ユーロと、6月に付けた年初来安値から2割近く高い。10月11日発表の2022年7~9月期決算で、全ての事業と地域で売り上げを伸ばした。マクロ環境の悪化に対応しているとの評価が株価を支えている。
22年7~9月期決算では、売上高が比較可能なベースで前年同期比19%増の197億5500万ユーロと、QUICK・ファクトセットが集計した市場予想(191億4330万ユーロ)を上回った。5つの事業部門すべてが前年同期から売り上げを伸ばし、主力ブランド「ルイ・ヴィトン」や「クリスチャン・ディオール」を持つファッション・レザー製品部門は同22%増の96億8700万ユーロだった。世界的に新型コロナウイルスの感染拡大に伴う行動制限が緩和され、成長が加速した。
22年1~9月期の売上高は564億8500万ユーロと比較可能なベースで前年同期と比べ20%増えた。地域別では米国が19%増、日本が32%増、欧州が43%増。米証券テルシー・アドバイザリー・グループは「欧州地域は米ドル高を利用した米国人観光客の消費増加の恩恵を受けている」と指摘する。「売り上げ対象地域が地理的な広がりを持っていることが強みであり、消費者行動の変化や世界のマクロ環境の変動にもうまく対応できる」(同)ともみていた。