【日経QUICKニュース(NQN) 大沢一将】半導体設計のソシオネクスト(6526)は31日、2022年4~9月期の決算説明会をオンラインで開催した。12日に東証プライム市場に上場したばかりとあって事業内容や決算に関する問いが相次ぎ、米山優取締役執行役員常務が答えた。同期間の連結売上高は前年同期比49%増の827億円、営業利益は3.1倍の104億円と大幅な増収増益だったが、通期見通しを据え置いた点などに質問が集中した。
Q 通期予想の上方修正はしないのか。下期の想定為替レートの1ドル=120円は保守的すぎないか。
A 23年3月期(今期)の連結業績予想は上場時のものを据え置いている。売上高は前期比45%増の1700億円、営業利益は2倍の170億円、純利益は74%増の130億円を見込んでいる。
(業績予想は)次回、4~12月期の決算時に見直す予定。通期予想作成時の想定に対し、4~9月期の売上高は約30億円、営業利益は20億円ほど超過した。
Q 円安のプラス影響はどの程度だったのか。
A 連結売上高は前年同期から273億円増、営業利益は71億円増となったが、それぞれ115億円、39億円が円安の影響だった。円相場が対ドルで1円円安方向に動くと、通期の売上高で10億円、営業利益で3億5000万円の押し上げ要因となる。
Q 半導体市況の落ち込みや景気減速の影響は。
A 最先端分野でのカスタム品を手掛けており、景気変動というよりは、自動運転や高速通信規格「5G」の進展などの影響を受ける。(足元の受注動向は)半導体不足を背景に顧客が在庫を確保する動きがあったが、4~6月期の半ばから落ち着いてきた。今期の売上高分の受注はすでにいただいており、現在の受注は来年度分。
Q 半導体製造受託(ファウンドリー)の状況について。
A 今年度に入り、先端品については生産能力に余裕が出ている。これを生かして追加で生産していく。40ナノ(ナノは10億分の1)メートル以上の既存品の生産能力はなお逼迫しており、顧客の需要に対して100%対応はできていない。
Q 先端半導体を手掛ける会社としては利益率が低いと思うが。
A 18年度から事業構造改革を進めており、成果が見え始めたところ。中期的に10%台半ばの営業利益率を目指す。競合がおり、高い価格で受注するのはなかなか(難しい)。自動車分野では米マーベル・テクノロジー、通信分野では米ブロードコムが競合だ。
Q 顧客分散の程度は。
A 売り上げが一番多い取引先でも(全体の)6~7%。1社に集中はしていない。
Q 半導体の先端技術を巡る米中対立が激化していることの影響は。
A 規制内容を精査する必要があるが、現時点では今年度の業績に影響するとは考えていない。