【NQNニューヨーク=川内資子】20日の米株式市場で値動きが目立った銘柄は以下の通り。△は上昇、▲は下落。
◎バイオ製薬のモデルナ(MRNA) △5.9%
13日にメッセンジャーRNA(mRNA)技術を使ったがんワクチンの臨床試験(治験)で良好な結果が出たと発表して以降、アナリストによる目標株価の引き上げが続いている。20日はパイパー・サンドラーが214ドルから217ドルに上げた。メッセンジャーRNA技術を使ったワクチンなどの新製品の開発・発売が続くと予想する。
◎新興電気自動車メーカーのルーシッド・グループ(LCID) 横ばい
19日夕に計画していた15億ドルの株式売却による資金調達を完了したと発表し、財務不安が和らいだ。資金調達が迅速に終わったことや、株式の売却価格が19日終値を4割強上回る高水準だったことも好感され、一時は9%高となった。
◎ネット広告配信支援のトレードデスク(TTD) △5.6%
パイパー・サンドラーが投資判断を「買い」、目標株価を60ドルと19日終値を36%上回る水準で調査を始めた。マクロ環境の不透明感がリスク要因ではあるが、「業界全体を上回る業績をあげる位置にいる」と指摘した。動画向けターゲット広告市場が増える傾向は続きそうで、リーダー的存在のトレードデスクはこれを推し進めていくとの認識を示した。
◎電気自動車のテスラ(TSLA) ▲8.1%
エバコアISIが目標株価を300ドルから200ドルに引き下げた。アナリストは、垂直統合が進むテスラの利益率が競合他社より高いといった利点はすでに株価に織り込まれ、「2023~25年に高い需要が続くのかどうかが試される」と指摘。最近の下落で株価がチャート上の重要な節目を下回り、一段の下落リスクが高まったと分析した。
◎燃料電池のフューエルセル・エナジー(FCEL) ▲18.7%
20日発表の22年8~10月期決算で売上高が市場予想ほど増えなかった。研究開発費などがかさみ、最終赤字は拡大した。23年10月期通期の設備投資額を前期から大きく増やす計画を示した。市場予想も大きく上回る額に膨らむため、収益悪化への懸念が強まった。
◎食品のゼネラル・ミルズ(GIS) ▲4.6%
20日発表の22年9~11月期決算は市場予想を上回る増収増益となり、23年5月期通期の収益見通しも引き上げた。ただ、決算資料で消費減速に加えてインフレによるコスト高、供給網の混乱への懸念を示し、業績の不透明感から売りに押された。