【NQNニューヨーク=横内理恵】米連邦準備理事会(FRB)は2月1日に開く米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を4.5~4.75%に引き上げ、利上げ幅を前回会合の0.5%から0.25%に縮小する見込みだ。市場では次回3月会合を最後に利上げを停止するとの見方が増えており、会合後のパウエル議長の記者会見からその時期を探ることになる。
FRBは昨年11月会合まで4会合連続で0.75%ずつ利上げした後、前回12月会合で0.5%に縮小した。今回はさらに0.25%に縮める見通しだ。物価と賃金の伸びが鈍化しており、利上げペースを緩めてこれまでの累積的な金融引き締めの影響を見極める。年明け以降は複数の米地区連銀総裁が0.25%の利上げ支持を表明しており、タカ派の論客であるFRBのウォラー理事も0.25%利上げを望むと述べていた。
市場の関心は利上げ幅から、FRBがいつ利上げを停止するかに移っている。ウォール・ストリート・ジャーナル紙は1月下旬、今回の会合で「今春に利上げを停止するための議論を始める可能性がある」と報じた。市場ではインフレ減速を受け、3月を最後に利上げを終えるとの予想が大勢だ。金利先物市場が織り込むターミナルレートは4.9%近辺と、FOMC参加者が12月会合で示した見通し(5.1%)を下回る。
利上げ停止時期を探るうえで、ヒントになりうるのが議長会見だ。市場では、議長はインフレ警戒姿勢を緩めず、金融引き締めを続ける方針を強調して「発言のトーンはややタカ派寄りになる」(JPモルガン)との見方が多い。市場が早期の利上げ停止を織り込んで株高と債券利回り低下が進み、意図せざる金融緩和に陥るのを防ぐためだ。
今回の会合で委員らの政策金利見通し(ドットプロット)は発表されないが「パウエル議長は12月会合で公表した見通し(5.1%)を規定路線として言及する」(ドイツ銀)との見方がある。3月だけでなく5月も利上げしないと5.1%に届かないため、その場合はややタカ派寄りのメッセージとなる。市場が織り込む年後半の利上げについても「歴史は性急な金融緩和を戒めている」との従来の見解を繰り返し、市場をけん制するだろう。
これに対し、議長が賃金インフレへの懸念を和らげるようなら、市場は「ハト派に傾いた兆候」(モルガン・スタンレー)と捉える。FRBのブレイナード副議長は大幅な雇用喪失を伴わないインフレ沈静化に楽観的な見解を示しており、議長からも同様の発言があるかに関心が向かう。米経済のソフトランディング(軟着陸)への期待が強まれば、株式市場を中心に好感されそうだ。
今のペースで春にかけてインフレ鈍化や景気減速が続けば、FRBが早期に利上げを終える可能性はある。議長もインフレ高止まりとインフレ鈍化の両方のシナリオに柔軟に対応する姿勢を見せる必要がありそうだ。