【日経QUICKニュース(NQN) 岡田真知子】政府が日銀の黒田東彦総裁(78)の後任人事について雨宮正佳副総裁(67)に就任を打診したことがわかったと、6日未明に日本経済新聞電子版が報じた。政府は与党などとの調整を進め、2人の副総裁も含めた人事案を2月中に国会に提示する見通しだ。雨宮氏は日銀出身。日銀の独立性を強化した改正日本銀行法が施行されてからまもなく25年。この四半世紀の日銀総裁と主な施策を振り返る。
【2013年3月20日~23年4月8日任期満了】
◎黒田東彦(くろだ・はるひこ)氏
・大蔵省(現・財務省)出身
・1期目、2期目ともに安倍晋三政権が指名
・就任直後、13年4月の金融政策決定会合で量的・質的金融緩和を導入。その後16年1月にマイナス金利政策、16年9月には長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)を導入。18年7月、フォワードガイダンスを導入。22年12月の会合ではYCCで許容する長期金利の変動幅をプラスマイナス0.5%程度へ拡大した。
【08年4月9日~13年3月19日】
◎白川方明(しらかわ・まさあき)氏
・日本銀行出身
・福田康夫政権が指名
・参院で野党が過半数を握る「ねじれ国会」の下、政府が提示した総裁人事案を参院が否決。福井前総裁(当時)退任後の08年3月20日から20日間、総裁が空席となり、副総裁に就任した白川氏が総裁職務を代行。その後4月9日に国会の同意を得て日銀総裁に就任した。
・リーマン・ショックや東日本大震災といった危機下で金融緩和策を続けた。10年10月、包括的な金融緩和策を導入。買い入れ資産の対象を上場投資信託(ETF)や不動産投資信託(REIT)に広げた。13年1月、2%の物価安定目標を導入。任期満了を3週間後に控えて前倒しで退任した。
【03年3月20日~08年3月19日】
◎福井俊彦(ふくい・としひこ)氏
・日本銀行出身
・小泉純一郎政権が指名
・副総裁時代、日銀職員の不祥事の監督責任を問われ辞任していた。
・06年3月、量的緩和政策を解除。同年7月にゼロ金利政策からも脱却。短期誘導金利を0.25%に引き上げた。
【1998年3月20日~2003年3月19日】
◎速水優(はやみ・まさる)氏
・日本銀行出身
・橋本龍太郎政権が指名
・84年に日商岩井(現・双日)社長、87年には同会長
・総裁就任直後の98年4月1日、改正日本銀行法が施行
・99年2月、世界初のゼロ金利政策を導入。00年8月に解除も01年、ゼロ金利政策に回帰。01年3月、世界初の量的緩和政策を実施。02年10月、金融機関が保有する株式の直接買い入れを決定した。