【NQNニューヨーク 矢内純一、戸部実華】
■スノーフレイクが急落、企業のIT投資抑制で成長鈍化の懸念
2日の米株式市場でスノーフレイクが急落し、前日比12.4%安の135.28ドルで終えた。1日に発表した2023年2~4月期の製品売上高見通しが市場予想に届かなかった。景気先行きへの不透明感からIT(情報技術)投資に慎重姿勢が出るなか、成長鈍化を懸念した売りが出た。
2~4月期の製品売上高見通しは前年同期比44~45%増の5億6800万ドル~5億7300万ドルと、市場予想(5億8200万ドル)を下回った。決算説明会で、フランク・スルートマン最高経営責任者(CEO)は「事業の見通しが立たず、新規契約や契約更新などを含むブッキングズに慎重になる顧客が一部ある」と述べた。
ウェドブッシュ証券はリポートで「顧客が大規模な契約に消極的で、代わりに短期間の契約をすすめている影響だ」と分析。「顧客はサービス利用を見直しているため、売り上げの伸び悩みにつながっている」とみる。決算を受け、JPモルガンは「短期的な成長鈍化に陥っている」と指摘し、目標株価を180ドルから165ドルに引き下げた。FBN証券も230ドルから200ドルに見直した。
■テスラが8%安、廉価版EVの具体的発表なく失望売り
(米東部時間12時21分)2日の米株式市場でテスラが3日続落し、前日比8.3%安の186.01ドルを付けた。2月上旬以来の安値。1日夕に米テキサス州の本社で投資家向け説明会を開いたものの、市場が注目していた廉価版EV(電気自動車)について具体的な発表がなかった。年初から株価が60%以上上昇していたこともあり、売りが優勢となっている。
説明会でテスラは低価格の小型EVを数年以内に発売する計画を明らかにしたが、市場はもっと具体的な内容を期待していたようだ。ドイツ銀行は2日付リポートで「発売時期、車両セグメント、価格帯、財務的な影響など詳細が明らかにされなかったことに失望した」と批判。「短期的に株価を上昇させる大きなカタリストになることは期待できない」とみる。
JPモルガンは投資判断を「売り」で据え置き、目標株価は120ドルに設定した。「(米中での)値引きによる収益性低下を相殺するため、販売台数の高い成長が求められている」と指摘。廉価版EVの投入だけでなく、既存車種で比較的低価格の「モデル3」「モデルY」の刷新など「販売台数拡大につながる施策を投資家は期待していたが、それがなかった」という。
■セールスフォースが16%高、アナリストの目標株価引き上げ相次ぐ
(米東部時間11時53分)2日の米株式市場で顧客情報管理のセールスフォースが急伸し、一時は前日比15.9%高の193.91ドルを付けた。1日夕に発表した2022年11月~23年1月期決算と24年1月期通期の業績見通しが市場予想を大幅に上回り、好感した買いが膨らんだ。アナリストからはマクロ経済環境が悪化する中でも収益性の改善が見込めるとの高評価が目立ち、目標株価の引き上げが相次いだ。
11~1月期の売上高は前年同期比14%増の83億8400万ドルとQUICK・ファクトセットがまとめた市場予想(79億9000万ドル)以上だった。主力のサブスクリプション(継続課金型)収入は14%増えた。特別項目を除く1株利益は1.68ドルと市場予想(1.36ドル)を上回った。24年1月期通期の見通しは売上高が345億~347億ドル、特別項目を除く1株利益は7.12~7.14ドルと、ともに市場予想(338億9000万ドル、5.87ドル)を大幅に上回る。併せて自社株買い枠を100億ドルから200億ドルに拡大すると発表した。
決算を受け、ニーダムは投資判断を「中立」から「買い」に引き上げ、目標株価は230ドルに設定した。高い利益率見通しやコスト削減方針などを背景に「収益性に焦点を合わせた新たな取り組み」を評価。キーバンク・キャピタル・マーケッツは投資判断を「買い」で維持し、目標株価は191ドルから220ドルに引き上げた。利益率の改善や自社株買い枠の拡大を評価する。セールスフォースを「企業のデジタル化を支える市場シェアのリーダー格」と捉え、長期的な成長が見込めるという。
セールスフォースは複数のアクティビスト(物言う株主)から経営改善などの圧力をかけられてきた。RBCキャピタル・マーケッツはこの環境下で「投資家が求めていた、ほぼすべてを提供した11~1月期決算だった」と分析。市場予想を上回る利益率と底堅い売上高の伸びが際立つといい、投資判断は「買い」で据え置き、目標株価は165ドルから225ドルに上方修正した。