高等学校の家庭科で2022年度から始まった金融教育では、学生が正しい金融リテラシーを身につけ、資産形成や将来のライフプランなどについて自律的に取り組めるようになることが期待されている。QUICKが金融教育に携わる高校の教員を対象に実施したアンケート調査によると、教員の金融リテラシーが金融教育の進展に大きく関わっていることがわかった。
教員の金融リテラシー水準に差
調査では、教員に金融経済知識を問う設問に答えてもらい、回答結果をもとに金融リテラシー水準を低中高の3分類に区分した。
教員の金融リテラシー水準は、担当科目、性別、年齢、投資経験の有無などによって差が出た。
金融リテラシーが高い教員は全体の2割弱だった。科目別でみると、公民の教師は9割弱だが、家庭科の教師は1割だった。金融リテラシーは教員歴が長いほど高くなる傾向にある。家庭科教員には教員歴10年以下の人が7割と多いため、公民の教師よりも金融リテラシー水準が低めとなった。
■金融リテラシーの高さは教職歴の長さと比例
金融教育を授業で取り扱う重要性について聞いたところ、金融リテラシーが高い教員ほど「重要だと思う」と答える割合が高かった(84%)。金融リテラシーが低い教員は57%にとどまった。
教員の3割超が「資産形成・運用」分野に苦手意識
教員の金融リテラシー水準の高さは、教える自信や意欲につながっている。金融経済分野の知識の中で教員として生徒に教える自信のあるものを聞いたところ、教員の金融リテラシーが高い層では、「家計管理」「生涯の生活設計(ライフプラン)」「金融トラブル」「金融や経済、市場の仕組み」など多くの分野で自信があるとの回答が目立った。
反対に、苦手意識を持つ分野について尋ねたところ、「資産形成・運用」分野と答えた教員が全体の33%と他の分野よりも多かった。中でも、家庭科教員の4割近くが苦手意識を持っている点に注目したい。
「資産形成・運用」分野の教育における課題を聞いたところ、家庭科教員は「教材の準備作成」「自身の知識不足」が6テーマのうち最多だった(それぞれ26%、30%)。
金融教育の進展のためには、金融知識の不足や教員歴の浅さなどを理由に、授業に自信を持てない教員をサポートする必要がありそうだ。
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