3月2日(木)、マレットオークションで2つのセールが開催された。午前中には、”M-Live Auction”という新しいオークションが開かれた。会場で競りに参加することはできず、オンライン同時入札を使って、オークショニアが競りを行う映像をリアルタイムで見ながら、パソコンやスマートフォンを通して参加するというもの。従来のセールとは異なり、下見会やカタログの掲載もなく、全てがオンラインのみで執り行われるオンライン完結型のオークションだ。若い購買層が魅力を感じるようなコンテンポラリー作品を中心に構成された120点の作品に多くの入札が集まった。
午後には、半蔵門にあるオークションハウスにて会場を用いた従来型のセールが開催された。そのセールでは国内作家56名、海外作家39名による作品141点がセールにかけられた。落札総額は、1億3023万円(落札手数料含まず・以下同)、落札率は69.5%だった。オンラインや電話などを用いた会場以外からのビッドが活発な印象のセールだった。
ウォーホルの「オランウータン」、予想の5.5倍で落札
トップロットはセール序盤に出品されたアンディ・ウォーホルの版画作品である。1983年当時、世界で絶滅危惧種とされていた10の動物をモチーフに制作された「Endangered Species(絶滅危惧種)」シリーズの1作、LOT.006《Orangutan》(96.5×96.5㎝、シルクスクリーン)は、400~600万円のところ、2200万円で落札された。落札予想価格を大きく上回り、予想価格下限の5.5倍という大幅な伸びをみせた。
他にも大きな競り上がりで注目を集めたのは、ヌリ・アバクの作品。ヌリ・アバク(1926-2008)は、トルコ出身の現代芸術家のひとりで、伝統的なペルシャ絵画の技法で知られている。LOT.117《市場》(65.5×65.5㎝、キャンバス・油彩)は、落札予想価格20~30万円のところ、下限の10倍となる200万円で落札された。本セールでは、国内市場で出品が稀な海外作家によるオリジナル作品の盛況な競り合いが目立った。
仲衿香の「現在地シリーズ」、落札予想価格が上昇中
今回は、仲衿香(なか・えりか、1994年~)に焦点を当てる。仲衿香は、身近にあるロゴや切り取った自然風景を絵画に落とし込み、アクリル絵の具を厚塗りした独特な質感を特徴とする作品を制作している。先日会期を終えたばかりの日本最大級の国際的なアートフェア「アートフェア東京」にも出展され、注目を集めていた。「CAF賞」の受賞歴もあり、新進気鋭の若手作家のひとりである。
本セールでは1点のオリジナル作品が出品された。LOT.004《35.660355,139.701410》(27.3×27.3.㎝、パネル・アクリル)で、落札予想価格25~35万円のところ、52万円で落札された。この作品は、タイトルの数字がGoogleマップの緯度と経度の座標になっている。その場所にしか存在しない独自性があるものを作品モチーフとして選び、その場所の座標をタイトル表記した「現在地」シリーズと言われる作品である。
本作品と同一サイズのオリジナル作品の動向をパフォーマンス指標からみる。2021年1月の初出品では、落札予想価格10~15万円のところ、26万円で落札されている。その3か月後には34万円、1年後は65万円と右肩上がりに落札金額が上昇している。今回のセールで落札価格は下降をみせるが、落札予想価格を上回り落札されている。落札予想価格は、2021年以降、約2倍程度上昇し、徐々に評価を上げている。常に落札予想価格下限の3倍近くの価格で落札されており、好調を維持している。まだ作品も多く出回っていない希少さもあり、高騰傾向が見られるかもしれない。今後の活躍が期待される若手作家の動向を注視していきたい。
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※次回のマレットオークション開催予定は5月18日
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