【日経QUICKニュース(NQN) 小松めぐみ】高級ブランド株が上昇基調を強めている。エルメスやLVMHモエヘネシー・ルイヴィトンの年初からの上昇率は3割を超えた。新型コロナウイルス禍からの世界的な需要回復が背景にある。中国の顧客による「リベンジ消費」への期待も大きい。
13日の欧州株式市場で、LVMH株は前日比5.7%高の884.50ユーロまで上げ、最高値を更新した。1~3月期の売上高が前年同期比17%増えたと12日に発表した。主力の「ルイ・ヴィトン」や「クリスチャン・ディオール」を擁するファッション・レザーグッズ部門の売り上げは18%増えた。
地域別にみると、欧州や日本での需要が旺盛で売り上げが伸びた。日本を除いたアジア地域は14%増えた。アジア地域はLVMHの売り上げの4割近くを占める。その中心は中国だ。
LVMHのジャン・ジャック・ギオニー最高財務責任者(CFO)はアナリストとの質疑応答の席で、ファッション・レザーグッズの中国本土での伸び率が「2桁」だったと明らかにし「顧客は我々の店舗にやってきており、市場は正常化している。中国の強い需要の恩恵はかなり有望だ」と述べた。
13日はLVMH株のほか、「グッチ」を傘下に持つケリングや化粧品大手ロレアルなど高級品消費に関連した銘柄に買いが波及。エルメスは3%上昇し最高値を更新したうえ、14日に公表した1~3月期の決算では売上高が市場予想を上回るなど業績の好調ぶりを確認した格好となった。
昨年末からの上昇率をみると、LVMH株は30%、エルメスは34%、ロレアルは27%。欧州主要600社の株価指数であるストックス600の9%と比べると、パフォーマンスの良さが際立つ。その背景にあるのは、高級ブランドとして揺るぎない地位と、インフレで衰えることのない高級品購入の意欲だろう。
海外株の運用を手がけ、高級消費関連株にも投資するニッセイアセットマネジメントの三国公靖上席運用部長は、足元の株高について「当然の動きだ」と語る。インフレ下で商品価格の引き上げが消費者に受け入れられやすいことや、中国をはじめコロナ禍の反動による購買意欲の復活が業績に寄与するからだ。
3月に欧州に出張し、現地の状況をつぶさにみてきたというニッセイアセットの三国氏は、従来から投資していた欧州の高級消費関連株について「夏くらいまでは継続して保有するつもりだ」と話す。世界的な景気減速への警戒があり、消費動向の変化に注意を払う必要はあるが、高根の花が生む果実はさらに甘さを増すかもしれない。
◎主な高級ブランド関連株と投資信託の上昇率
・エルメス 34.6
・LVMH 30.0
・フェラーリ 27.5
・ロレアル 27.1
・バーバリー 26.2
・ポルシェ 25.2
・リシュモン 20.9
・ケリング 19.6
・日興エドモン・ドゥ・ロスチャイルド・ラグジュアリーファンド 15.6
・ピクテ・プレミアム・ブランド・ファンド(3カ月決算型) 14.1
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(注)単位は%。13日と22年末の株価または基準価格を比較