【NQNロンドン=菊池亜矢】「ZARA」などを展開するアパレル世界最大手、スペインのインディテックスの株価が堅調だ。年初からほぼ一本調子で上昇しており、13日には年初来高値を付けた。終値は34.11ユーロと2022年末を37%上回る。7日発表した堅調な23年2~4月期決算で上昇に弾みが付いた。世界的な景気減速に伴いファッションへの支出が鈍る懸念はあるものの、店舗への積極的な投資を進めることで他社との差異化が進むとの期待が強い。
2~4月期決算は売上高が前年同期比13%増の76億1100万ユーロ、純利益は54%増の11億6800万ユーロだった。春夏コレクションが好評で、売上高は全地域と全ブランドで伸びた。同社の強みであるサプライチェーン(供給網)の管理に加え、コスト抑制が利益増につながった。売上総利益率は60.5%と、前年同期から0.34ポイント改善した。
5~7月期に入っても堅調さは続いており、5月1日~6月4日までの売上高は、為替変動の影響を除くベースで前年同期比16%増えた。店舗とデジタルの双方で積極的な投資を進めており、これが成長期待につながっている面もある。
2~4月期には17の異なる市場に店舗を開設。5月にはカンボジアで事業を開始し、プノンペンに旗艦店を出店、オンライン販売も始めた。「ZARA」では、中古品の修理や販売、寄付などができるオンラインサービス「プレオウンド」をフランス、ドイツ、スペインで年内にも始める計画だという。
顧客をひき付けるために、店舗デザインの刷新も進めている。試着室の刷新に加え、セルフレジエリア、ネット注文した商品を受け取るクリック&コレクトポイントなどを設置。ハードタグに代わるセキュリティー技術も近く世界的に導入する予定だ。出店の場所や規模、店舗の快適さなどの最適化に注力しており、店舗の販売生産性の向上を継続的な成長につなげる構えだ。
「同社は設備投資の大部分を店舗投資に向けているとみられ、こうした投資が、同業他社に対する強力な競争優位性を促進し続けている」(モルガン・スタンレー)と評価する。QUICK・ファクトセットによると、13日時点で、アナリスト30人の約6割が「買い」か「強気」と判断している。