QUICKが12日に発表した9月の「QUICK短期経済観測調査」(QUICK短観)で、製造業の業況判断指数(DI)はプラス10だった。11カ月ぶりの高水準だった前月調査から2ポイント悪化したものの、2ケタ台を維持した。前月比での悪化は2カ月ぶり。全産業の業況判断DIは1ポイント悪化しプラス25だった。
現在の円相場について「想定より円安」と答えた企業の割合から「想定より円高」と答えた割合を引いて算出する「円相場DI」は、全産業でプラス75と2022年11月以来10カ月ぶりの高水準を付けた。足もとで円相場は一時1ドル=147円80銭台まで円安・ドル高が進み、2023年度の大企業・製造業の想定為替レートである1ドル=131円55銭(23年6月調査の日銀短観)からは大きく離れている。円安の長期化で、輸出企業を中心に業績の上方修正が相次ぐ可能性もありそうだ。
QUICKでは毎月、全国の証券取引所に上場する企業を対象に業況や事業環境に関するアンケートを実施し、結果をQUICK短観としてまとめている。9月調査は8月29日から9月7日まで実施し、231社が回答した。
9年ぶり高水準の長期金利、財務戦略に「影響なし」7割
話題のトピックについて聞く特別調査では、国内長期金利が2014年1月以来の高水準で推移するなか、金利上昇が財務戦略にどのような影響を与えるかを聞いた。「金利水準としては低いので影響はない」が最多の67%を占めた。「借入金を減らし利払い負担を抑える」が17%、「長期資金の比率を高める」が9%で続いた。
もっとも「借入金を減らし利払い負担を抑える」や「投資計画を縮小、または先送りする」(2%)といった回答の比率は、1月のQUICK短観で同じ質問をした際に比べて低下している(1月調査ではそれぞれ28%と7%)。企業財務戦略の「守りの姿勢」がやや和らいでいる可能性もある。
働き方改革が進み関心が高まる「週休3日制」導入についての考えも聞いた。「すでに導入を決めた」「導入を検討している」はそれぞれ1%にとどまった。「導入は検討せず当面様子をみる」が68%、「導入しない・できない」が26%と、現時点では消極的な意見が大半を占めた。
(QUICK Money World 中田真裕)