10月27日(金)28日(土)の2日間、SBIアートオークションによる現代アートのオークションが、代官山のヒルサイドフォーラムで開催された。今回のセールでは、国内外作家161名(他作家・共作出品は1名でカウント)、300点の作品が競りにかけられた。出来高は、落札総額10億6666万5250円(落札手数料含む・以下同)、落札率は91%と好記録を達成し、非常に活況なセールとなった。
村上隆や金山明が好調
1日目は、落札予想価格平均190~300万円程度の作品104点がセールにかけられた。単日の落札総額は5億8351万円、落札率は91.3%を記録している。
この日、トップロットとなったのは、村上隆による版画作品。LOT.062《Monogram Mini Multicolore》(40.0×40.0㎝、シルクスクリーン・金属枠にマウントしたキャンバス、ed.100)のホワイトバージョン、ブラックバージョンの2点組は、落札予想価格200~300万円のところ、414万円で落札された。村上は2日間で合計3LOTの出品があった。2日目に出品されたオリジナル作品LOT.152《Untitled》(60.0×50.0㎝、岩絵具・木製パネルにマウントした和紙、2点組)は、落札予想価格150~250万円に対し、落札予想価格上限の6倍程度となる1552万5000円で落札された。本セールで、最大の伸びを見せた注目作品となっている。両日ともに、村上の好調がうかがえる結果となった。
2日目は、落札予想価格170~270万円程度の作品196点がセールにかけられた。単日の落札総額は4億8315万5250円、落札率は90.8%を記録している。草間彌生、ロッカクアヤコ、アンディ・ウォーホルなど、定評のある作家が順当な結果を残す中、先の村上に次いで大幅な伸びを見せ注目を集めたのは、金山明の作品。具体美術作家の希少な大型ドリッピング作品にビットが集まった。LOT.130《Work》(134.7×114.2㎝、塩化ビニール樹脂塗料・パネルにマウントしたビニール)は、落札総価格500~800万円に対し、落札予想価格上限の5倍程度となる4830万円で落札されている。
鬼頭健吾の落札価格が急上昇
今回は、鬼頭健吾(きとう・けんご、1977‐)に焦点を当てる。鬼頭は、フラフープやパラソルなどの既製品を取り入れたインスタレーションや立体、絵画、映像など多様な表現方法を用いた作品を発表している。ありふれた日常のもので現代社会を軽やかに批評する作家として国内外から高い評価を受けている。
本セールでは1日目の序盤に、全体にラメが施されたキャンバスに油絵具で描画されたオリジナル作品LOT.015《cosmic dust – gold》(65.2×65.2㎝、油彩・ラメ・キャンバス)1点が出品された。
出品作品と同じキャンバスを用いた《cosmic dust》シリーズの15~25号サイズの過去の落札データを抽出したACF美術品指標から動向を読む。2015年の出品では、落札予想価格10~15万円のところ、16万円程度で落札されている。2019年の出品では、落札予想価格は横ばいに対し、落札価格は36万円程度と上昇傾向をみせる。2023年の本セールでは、落札予想価格30~50万円に対し、241万5000円で落札されている。落札予想価格上限の約4倍という大幅上昇をみせた。常に落札予想価格上限を超えて落札されており、総じて好調だ。
また、グラフ外のデータになるが、今回の出品作品より小さい6号サイズの作品が2022年4月と2023年4月に出品されている。2022年には約16万円で落札されていたが、2023年には約140万円で落札されるという急上昇がみられた。2023年からの人気の高まりがうかがえる。
この上昇基調がどこまで続くか、今後の動向が期待される。
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※次回のSBIアートオークション開催予定は2024年1月27日、28日
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