【日経QUICKニュース(NQN) 宮尾克弥】東京証券取引所は1月5日、創薬関連事業のVeritas In Silicoの東証グロースへの上場を承認した。上場日は2月8日。証券コードは「130A」となり、証券コードに英字が採用された初事例となる。従来は新規株式公開(IPO)の企業などに4ケタの数字が付与されたが、組み合わせ数が減少していた。そのため、2024年から新規に上場する銘柄には英字を組み入れた証券コードが割り当てられる。東証などが運営し、証券コードを付与する「証券コード協議会」事務局の石上浩人氏に聞いた。
――証券コードに英字を採用する理由などについて改めて教えてください。
「現在の証券コードは数字4ケタの組み合わせなので数には限りがあり、枯渇に対応する必要があったためだ。実は数字4ケタの証券コード数のうち1300は債券や公社債に割り当てているため株式や上場投資信託(ETF)、不動産投資信託(REIT)には9999ではなく8700程度しか使えない。想像以上に残りは少なく、証券コード協議会で対応への検討を開始した」
――英字を組み入れると決めた時期は。
「証券コード協議会は09年に数字4ケタの証券コードが使い終わった時点で英字を組み入れて数を増やすとの基本方針を公表し、10年に組み入れに使う具体的な英字や組み入れる位置などを決めた。例えば英字のQは数字の9と発音が同じで混同しやすいので使わない。使用する英字はB、E、I、O、Q、V、Zを除く19になる。その後、実施時期を含め議論を重ねてきた」
――新証券コードの導入でどの程度の数まで増やせるのでしょうか。
「上場承認企業は英字を4ケタ目に入れた130Aから始まり、その後は131Aと順番に割り振る。999Aまで増えると、英字のBは使わないため、次は130Cになる。999Yまで行くと英文字を2ケタ目に入れ、1A00と続く。2ケタ目と4ケタ目の両方に英字を入れる1A0Aなども可能だが、こちらは将来の拡張分に残す。最大で約6万6000の証券コードが増えることになり、これだけのコード数があれば当面は心配ない」
――現在、上場している企業の証券コードはどうなるのでしょう。
「よく勘違いされるが、英字を含めた証券コードを割り振るのはあくまで今年から新規に上場承認された企業のみだ。現行の証券コード4ケタの銘柄に変化はなく、4ケタの数字を使い続ける。例えば任天堂の7974を変えれば、システム面を含め証券界に混乱を招く。全上場企業の証券コードを英文字入りにする予定はない」
――新証券コードを業種別にまとめることはしないのですか。
「業種でまとめる予定はない。過去は8300番台なら銀行業とするような業種による大まかなひも付けをしていた。新証券コード導入と同時に(ひも付けを)復活させないのかとの問い合わせを証券会社から受けたが、あくまで上場承認順にする。従来は下2ケタが01の「ゼロイチ銘柄」ようなキリの良い証券コードは規模の大きい銘柄に割り振られたが、英字を組み入れる証券コードではそのようなことはしない。
――導入決定後の証券会社など金融界の反応はどうでしたか。
「数字4ケタの入力から英字が入るので慣れるまでは注意が必要との声は出た。特に証券会社は多くのシステムを動かしているので、どのような影響が出るのかは調査が必要なので時間がかかる可能性は否めないと聞いた。ただ、聞いている範囲では証券会社のシステム改修による影響はそこまで大きくないと思う。むしろ情報ベンダーなどの方が表示方法などで影響が出るかもしれない」
――個人投資家への周知はどの程度進んでいますか。
「優先株は従来と変わらない。優先株コードは例外として普通株のコード番号に5を加えて5ケタで構成されているが、新証券コードでも同様に5を加えるだけだ。例えば130A5などだ。周知に関しては今後、一般の投資家にまでより浸透させる必要は当然ある。ホームページ、メディアを様々な力を借りながら周知させていきたい」