【日経QUICKニュース(NQN) 鈴木孝太朗】上場株式などを識別する証券コードに英字の組み入れが始まる。慣れ親しんだ数字4ケタからの変化に不安を感じる市場関係者は多く、証券会社などではシステムトラブルへの懸念も強い。英字組み入れの背景や実務面などへの影響をQ&A形式でまとめた。
Q:証券コードに英字が使われるようになるみたいだね。
A:2024年に新規上場する企業から英字がついた証券コードになる。5日に東京証券取引所が承認したVeritas In Silico(ウェリタスインシリコ、東京・品川)が記念すべき第1号だ。コードは「130A」。4桁なのは今までと一緒だけど、最後にしっかり英字がついているね。
Q:どうして英字を使わないといけないの。
A:4桁の数字だけを使っていると、9999まで到達したら、もう次がない。1300番までは債券のための番号なので、個別株は極洋の「1301」以降の8700が上限だった。東証などでつくる証券コード評議会によると、昨年9月末時点で残りは1200ほど。新規株式公開(IPO)や不動産投資信託(REIT)で毎年100~200のコードを付与しており、数年後には上限に達する恐れがあった。
Q:上場廃止になって今は使っていない番号を再利用すれば良いのでは。5ケタにするのもアリだと思うけど。
A:一度使われた番号は再利用できないルールなんだって。また、再上場時に同じ証券コードを使う場合もある。例えば、昨年12月に上場廃止になった東芝だけど、仮に再上場となった場合、上場廃止前と法人格が同一なら従来の「6502」を使うので、再利用しないのは「席」を空けておくとの意味合いもあるようだ。5ケタは伊藤園など優先株用の番号になっているよ。
Q:現在上場している銘柄はどうなる。全部英字を付け直すの。
A:既に上場している銘柄の証券コードはそのままだよ。トヨタ自動車は「7203」、レーザーテックは「6920」で今までと変わらない。英字組み入れは、これから新規に上場する企業に限った話だ。
Q:「130A」の次はどうなるの。
A:「131A」、「132A」と続いていく。「999A」に到達したらアルファベットが変わって「130C」になる。「Bと8」は見た目が似ており、「Qと9」は音が混同しやすいといった問題があるため、一部アルファベットは使用しないルールだ。しばらくの間は「A」の時代が続くため、あまり気にしなくて良さそうだね。
Q:もう枯渇することはないの。
A:使用できるアルファベットの最後は「Y」。「999Y」に到達したら、次は「1A00」と英字を2ケタ目にだけ入れる方針だ。この法則に従うと、最大で6万6000のコードを使えるという。今の市場関係者が現役の間は枯渇を心配しなくて良いだろうね。
Q:実務面で影響はないの。
A:最近は情報ベンダーやネット証券の画面で企業名を入力すれば、必要な画面にたどり着けるケースが多く、証券コードを覚える必要性は低下しているよね。ただ、Excel(エクセル)に関連する機能などでは、コードで銘柄を認識するケースもあり、英字組み入れのシステム面への影響を懸念する声は少なくない。ただ、金融情報を展開するQUICKや証券会社の多くは数年前から対応を進めてきたとみられ、現時点では過度な懸念は不要とみてよさそうだ。