【NQNニューヨーク=矢内純一】3月12日の米株市場で値動きが目立った銘柄は以下の通り。△は上昇、▲は下落。
◎IT(情報技術)のオラクル(ORCL) △11.74%
11日夕に発表した2023年12月~24年2月期決算で1株利益が市場予想を上回った。人工知能(AI)関連需要の拡大を受け、クラウドサービス部門の売り上げが伸びた。経営陣が決算説明会で業績の先行きに強気な見方を示し、買いを集めた。
◎エヌビディア(NVDA) △7.15%
オラクルの経営陣が11日の決算説明会で、2023年12月~24年2月期にエヌビディアと大規模なクラウド基盤の新契約を結んだことを明らかにした。エヌビディアの事業環境の良さが改めて示された。直近の2営業日で7%あまり下げていた後で、押し目買いが入りやすかった。
◎スリーエム(MMM) △4.96%
防衛企業のL3ハリス・テクノロジーズの前会長兼最高経営責任者(CEO)であるウィリアム・ブラウン氏が5月1日付でCEOに就任すると12日に発表した。現職のマイク・ローマンCEOは会長に就く。RBCキャピタル・マーケッツは12日付のリポートで「ブラウン氏の経営手腕は投資業界で高く評価されている」と指摘。軍需用耳栓の訴訟問題などで悪化した経営の立て直しへの期待が高まった。
◎穀物メジャーのアーチャー・ダニエルズ・ミッドランド(ADM) △3.93%
プロテイン飲料や代替肉の原料などを扱う「ニュートリション部門」の会計処理を巡る社内調査の最新情報を12日に発表した。業績に悪影響を与えるものではないとの見方を示し、買い安心感につながった。調査過程で最高財務責任者(CFO)の休職を決めたと発表した1月下旬には株価が急落していた。
◎ボーイング(BA) ▲4.28%
1月のボーイング製小型機「737MAX9」の事故を受けて米連邦航空局(FAA)が進めていた機体製造に関する調査で多数の問題が見つかった。米紙ニューヨーク・タイムズ電子版が11日報じた。同紙によると、今回の調査結果はボーイングの機体製造上の過失に関する証拠をさらに増やすものであるという。
◎スイスのスポーツ用品メーカー、オン・ホールディング(ONON) ▲8.86%
12日に発表した2023年10~12月期決算で売上高が市場予想に届かなかった。全体で22%増えたが、米州とアジア太平洋地域の売り上げが市場予想ほど伸びなかった。外国為替市場でスイスフランが対ドルで上昇し、フラン建てでみた海外売上高が目減りした。
◎プロジェクト管理ソフトウエアのアサナ(ASAN) ▲12.71%
11日夕に2023年11月~24年1月期決算と併せて発表した25年1月期通期見通しが慎重との受け止めから売りが膨らんだ。アナリストからは「AI需要を追い風に新たな価格・販売戦略のもとで2万件以上の顧客がアップグレードしたわりに、25年1月期通期の見通しは予想をわずかに下回った」との指摘があった。