3月7(木)にマレットジャパンで”M-Live Auction”と近現代のアートオークションSale#240307のオークションが開催された。オンライン上のみで開催されたM-Live Auctionでは、134点の作品が出品された。落札総額は1720万円、落札率は59%だった。一方、通常のセール#20240307では、落札予想価格平均67~97万円程度の作品が137点出品され、落札総額は、9597万円、落札率は76.6%となった。2つのセールの落札総額は1億1317万円(落札手数料含まず・以下同)で、落札率は67.9%となっている。いずれのセールも版画作品を多く取り揃えており、近現代のオークションでは半数以上が海外作家の作品でコレクターの関心を高めた。
草間彌生やアンディ・ウォーホルが不動の人気
近現代のオークションで、落札予想価格から大きな伸びをみせたのは、ジャン・カルズーの作品。針金のような細いシャープな線に抑えた彩色で描かれた風景画LOT.095《森の道》(54.0×65.0㎝、油彩・キャンバス)は、落札予想価格30~50万円のところ、110万円で落札された。落札予想価格上限の2.2倍という好結果となった。続いて出品されたLOT.096《音楽と曳舟》(60.0×81.0㎝、キャンバス・油彩)、ジャン・フサロによる作品も好調だった。落札予想価格30~40万円のところ、予想価格上限の2.13倍となる85万円で落札されている。海外作家の稀少なオリジナル作品に注目が集まった。
トップロットとなったのは、草間彌生の代表的なモチーフである黄色いかぼちゃを描いた版画作品。LOT.078《かぼちゃ》(28.0×22.8㎝、シルクスクリーン、Ed.150)は、落札予想価格上限の1.5倍程度となる740万円で落札された。次いで、高額落札を記録したのは、セール序盤に出品されたアンディ・ウォーホルのLOT.015《ブラックグラマ》(96.4×96.4㎝、シルクスクリーン、Ed.190)。落札予想価格上限の約1.7倍となる620万円で落札されている。高額落札の上位6位まで草間とウォーホルが占めていた。両作家は不動の人気を得ており、堅調が続いている。
池内信介、落札予想の上限近辺で推移
今回は、池内信介(いけうち・しんすけ、1984-)にスポットを当てる。池内は、独学で彫金技術を習得し、彫金作家として活動する傍ら、平面や立体作品なども制作し、現代アート作家として表現の場を拡げている。錫や銀などを用い、その特質を活かし異素材と複合させ独自な作品を展開するミクストメディア作品を手掛けることで知られている。
本セールでは、LOT.050《作品(グリーン)》、051《作品(パステルカラー)》、052《作品(レッド)》(各41.0×31.8㎝、ミクストメディア)と、色・デザインが異なる3点の作品が出品された。落札予想価格は、いずれも30~50万円で、LOT.050が38万円、 LOT.051とLOT.052が52万円で落札されている。
本作と同サイズで類似のミクストメディア作品の落札データを抽出したACF指標より、その動向を読む。2023年7月の出品では、落札予想価格30~50万円に対し、57万円程度で落札されている。12月まで、横ばい~下降傾向となるが、落札予想価格上限近辺にて落札されている。
池内のオークション初出品は2022年4月のセールで、SMサイズの作品が落札予想価格20~30万円で出品された。注目度が高く競り上がりを見せ、90万円で落札されている。それに後押しされてか、出品当初は高騰傾向がみられた。現状、6号サイズの作品においては落札予想価格上限付近の45~50万円で推移している。今後、上昇をみせることになるのか、その動向が期待される。
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※次回のマレットオークション開催予定は5月中旬 2セール同日開催
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