日銀は3月18・19日に開催した金融政策決定会合において、これまでの金融緩和政策を見直し、正常な金融緩和の状態に戻す道筋へ向う姿勢を明確にした。物価の上昇に対応する賃金の引上げを確認したことが見直しの背景にあった最大の要因と考えられるが、それ以外にも為替の円安傾向や株高といったことも考慮された可能性は少なからずあるだろう。もっとも、金融緩和の見直しを受けた金融市場においては、金利こそ素直に上昇したものの、既に政策変更を織り込んでいたこともあって、日経平均株価はほぼ4万円越えの水準となり、為替も1990年以来の円安水準に至っている。
今回の金融緩和の見直しに関しても、ブラックアウト期間における情報管理のあり方に疑問を呈する見方があるが、金融緩和政策を見直すこと自体については概ね予想された通りと考えられる。1日に発表された3月のQUICK月次調査<債券>では、この1年の植田執行部による金融政策の運営と今回の金融政策見直しに対する評価を中心に尋ねてみた。
まず、この1年の植田執行部による金融政策の運営を百点満点で評価してもらったところ、単純平均で75点、中心値および最頻値は80点という結果になった。一般的に60点で合格とされることを考えると、市場関係者は十分に高く評価したものと見て良いだろう。単純平均が75点で標準偏差は14点強と回答のバラ付きは見られており、最小値20点で最大値100点と一部に低い評価を付されていることが気になる。回答者の真意が奈辺にあるか不明であることがもどかしい。
今回の金融政策変更で見直された各項目についての評価を尋ねたところ、図表のように、特に高い評価を得たのが、マイナス金利解除(評価する95%)、ETF・J-REIT買入れ終了(評価する92%)、イールドカーブ・コントロール撤廃(評価する91%)、オーバーシュートコミットメントの削除(評価する87%)等であった。唯一、評価するとした回答が5割を下回ったのが、長期国債の買入継続であった(評価する45%)。この項目については、調査前の検討会議においても、低い結果となることが予想されていた。長期国債の買入れを急激に停止することは市場の混乱を招くため、買入れを継続し緩やかに減額するという方向性を評価する回答が予想される一方で、大量の国債買入れによって市場の価格発見機能や流動性に悪影響が生じているという副作用を重視する立場からは評価しないという回答も考えられたためである。どこに視点を置くかで評価の有無が分かれることが予想されたのである。したがって、単純に評価する回答が少なかったと判断するのではなく、慎重に受け止めた方が良いだろう。
■図表:日銀の金融政策変更で見直された項目に対する評価
【ニッセイ基礎研究所 年金総合リサーチセンター長 徳島勝幸】
調査は3月26~28日にかけて実施し、債券市場関係者124人が回答した。
QUICK月次調査は、株式・債券・外国為替の各市場参加者を対象としたアンケート調査です。1994年の株式調査の開始以来、約30年にわたって毎月調査を実施しています。ご関心のある方はこちらからお問い合わせください。>>QUICKコーポレートサイトへ