日本銀行は3月19日の金融政策決定会合でマイナス金利解除を決めた。株式市場では17年ぶりの利上げが好意的に評価されている。日経平均は4月に入って一時40,000円を超えて史上最高値を更新した。8日に発表された4月のQUICK月次調査<株式>をみると、マイナス金利政策解除については「内容とタイミングともに適切で評価できる」という回答の比率が79%に達した。今後、日本銀行は景気に配慮して、慎重に緩和策を見直す方針を示している。
今回の政策決定は幸運に恵まれた側面もある。金融政策決定会合前に発表された連合の春闘での賃上げ率が前年比5.28%となり、市場予想を大幅に上回った。デフレ脱却が資源価格上昇や円安だけでなく、国内要因にも支えられており、賃金と物価の好循環が始まる可能性を示唆した。また、堅調な米国景気を背景にFRBの早期の金融緩和観測が後退しているために、日本銀行の金融政策見直しにも拘らず、ドル円レートは大きく変動せず、概ね151円台で推移した。
長期的な視点に立つと、緩慢なインフレ定着と日本銀行の金融政策の正常化は日本株にプラス面が大きいとみる。まず、個人はインフレや金利を意識し、金融資産の実質的な価値を維持するために有価証券投資を行うだろう。日本証券業協会によると、今年1~2月のNISAの成長投資枠では59%が株式投資であり、このうち91%が日本株(ETF、REITを含む) であった。更に、金利上昇を受けて、銀行など債権者が収益性の低い企業への融資を維持できなくなり、企業の新陳代謝が加速するとみる。日本経済が慢性的な労働力不足に直面する環境下、業界再編は生産性上昇に貢献すると考える。
ただし、今後1年程度を見据えると、金融緩和策の見直しが日本株上昇に結びつくとは限らない。仮に主要国で債券利回りが上昇して株価が下落すれば、外国人投資家の日本株買いが続く訳ではないだろう。QUICK月次調査<株式>の特別質問では年末のドル円レートが140円以上の円高と予想する回答の比率が18%に留まったが、米国景気が減速する場合、大幅な円高・ドル安が進む可能性がある。政局の混乱が続けば、日本の政府債務に対する懸念が広がるかも知れない。
年初からの株高を受けて、機関投資家は日本株に強気である。QUICK月次調査<株式>のセクター判断では、医薬・食品、公益、通信のディフェンシブ・セクターの組入れ比率は計▲55%のアンダーウエイト超過である(図表)。この状況は2015年3月、2021年4月など先行きに楽観的な見通しが支配的な局面で現れており、その前後に株価が当面の高値をつけた。日本銀行の金融政策が直接的な理由ではないとしても、足許の市場関係者の強気姿勢を踏まえると、今年後半にかけて日本株が下落する展開にも注意したい。
■図表:国内投資家のディフェンシブ業種の組入れ
【ペンネーム:パフェ】
調査は4月2~4日にかけて実施し、株式市場関係者133人が回答した。
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