日本最大級の国際アートフェアである「アートフェア東京」が3月7日~10日の4日間、東京国際フォーラムで開催された(7日は招待制)。国内外より多くの人々が集まり、来場者数は5.5万人を記録し、盛況なフェアとなった。フェア期間中、別ホールにて、SBIアートオークションによる特別企画セールが開催された。アートフェア東京でのセール開催は今回で3回目となる。会場は立ち見も出るほどの賑わいを見せた。
高額の落札相次ぐ
今回のセールでは、国内外で活躍する現代美術作家の落札予想価格平均600~1000万円の作品が81点出品された。SBIアートオークションで定期的に開催されている通常のセールと比較すると作品点数は少なかったものの、オリジナル作品を中心に国内外作家による優品が揃い、見応えのあるセールとなった。出品作品のうち半数を超える作品が落札価格上限を超えて落札され、落札総額は9億5479万9000円(落札手数料含む・以下同)、落札率は91.4%を記録した。
セール序盤では、今津景の作品LOT.013《THE RED LIST》(194.0×162.0㎝、油彩・キャンバス)が、勢いのある競りで注目を集めた。落札予想価格200~300万円に対し、落札予想価格上限の518%まで競り上がり、1552万5000円で落札されている。今津の作品は、競り上がりを見せることが多く、コレクターの積極的な応札がみられる。2025年1月には、大規模個展の開催も予定されており、更なるブレイクが期待される。
高額落札には、草間彌生、李禹煥、ジャン・ミッシェル・バスキア、ウォーホルなどが名だたる作家が名を連ねた。高額落札上位5位までの落札総額は約5億500万円となっており、全体落札総額の半分程度を占める結果となった。
佐藤誠高の作品が堅調
今回は、佐藤誠高(さとう・なりたか、1980‐)に焦点を当てる。佐藤は、東京芸術大学大学院美術研究科デザイン専攻修了の経歴、2007年8th SICF グランプリ、2017 年Independent TOKYO グランプリなどの賞歴を持つ。実在の人物や花などをモチーフとし、精細な鉛筆画に、大胆な絵具使いで抽象的なペインティングを重ねた作風で知られ、多くのコレクターに支持されている。
本セールでは、セール序盤に1点のオリジナル作品が出品された。LOT.004《Red Woman 2》(145.5×145.5㎝、アクリル・鉛筆・パネルにマウントした紙)は、落札予想価格400~700万円のところ、落札予想価格上限を上回る920万円で落札されている。
佐藤の作品の中で、一番出品数の多い10号サイズの同技法作品の過去の落札データを抽出したACF美術品指標から動向を読む。2021年は、落札予想価格平均20~30万円のところ、170万円程度で落札されている。落札予想価格平均は右肩上がりに上昇し、2023年では落札予想価格平均110~160万円となる。落札価格平均は2022年に500万円近くまで高騰を見せるも、2023年には250万円程度に下落するが、それでも2021年に対し142%の上昇となっている。現状、10号サイズにおいては、200~300万円程度が目安となるであろう。
今回の出品作品は10号サイズよりも大きい80号サイズの作品のため、価格帯も高くなっている。2023年7月には、出品作品と近いサイズ(100号)の作品が出品されていた。落札予想価格400~700万円、落札価格920万円と、落札予想価格・落札価格ともに今回の出品作品と同じ結果となっている。いずれも落札予想価格上限を上回る価格で落札され、好調が続いている。安定した価格上昇を実現できるか今後の動向が注目される。
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※次回のSBIアートオークション開催予定は5月24日、25日
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