【日経QUICKニュース(NQN)】アドバンテスト(6857)は7月31日、2025年3月期(今期)の連結純利益(国際会計基準)が前期比69%増の1050億円になりそうだと発表した。従来予想の8%増の670億円から上方修正した。市場予想平均であるQUICKコンセンサスの801億円(26日時点、15社)を大きく上回った。生成人工知能(AI)需要の高まりで、高性能DRAMやSoC(システム・オン・チップ)向けの半導体用試験装置需要が想定を上回って推移していることを反映した。
売上高は23%増の6000億円(従来予想は8%増の5250億円)、営業利益は69%増の1380億円(10%増の900億円)にそれぞれ上方修正をした。未定としてた中間配当は19円とした。年間配当は引き続き未定としている。24年の半導体試験装置市場の予測は、演算半導体「SoC」向けが32億~35億ドル(4月時点の予測は29億~32億ドル)、メモリー向けが16億~18億ドル(同14億~17億ドル)とした。生成AIに向けた半導体の複雑性の増加が高性能コンピューティング(HPC)向けテスト需要を想定よりも急速なペースで引き上げているという。
同時に発表した24年4~6月期の連結決算は、売上高が前年同期比37%増の1387億円、営業利益が2.2倍の313億円、純利益が2.6倍の238億円だった。
■アドテストCEO、試験装置の需要増は「AIで半導体複雑化」が要因
同社は31日、2024年4~6月期の決算説明会を開催した。決算発表と同時に25年3月期の業績予想を引き上げたことについてグループ最高経営責任者(CEO)のダグラス・ラフィーバ氏は、「高性能コンピューター(HPC)と人工知能(AI)向け半導体の複雑化が進んでいることから試験装置の需要が想定以上に増えている」と説明した。
車載・産業機器向けなど旧世代のプロセス向けは復調に時間は要するとしたが、「4~6月期は幸先のよいスタートとなった」(同)という。25年の試験装置市場については変動要因が多く予測は難しいとしつつも、「足元におけるアップサイクルが今後1年以内で止まるという印象はなく、今年以上の成長が見込める」との見通しを述べた。