今週末の9月6日(金)、アメリカの8月の雇用統計が発表される。アメリカ株式市場の先行きを占う重要な指標であり、市場関係者の関心は高い。この記事では、QMWの関連記事を中心に雇用統計のスケジュールや市場の予想などを解説する。
雇用統計とは?
米国の雇用情勢を調べた経済指標のこと。失業率、非農業部門雇用者数をはじめ、建設業雇用者数、製造業雇用者数、小売業雇用者数などの業種別雇用者数、週平均労働時間、平均時給などが米国労働省から発表される。失業率と、非農業部門雇用者数の増減は特に注目される指標の一つ。通常、翌月の第一金曜日に発表されている。
雇用統計はなぜ重要?
労働市場の流動性が高い米国では、景気動向によって就業者数が大きく変動する。米連邦準備理事会(FRB)がその使命に物価の安定とともに「雇用の最大化」を掲げていることもあり、金融政策を占ううえでも重要性は高い。
また今回は、8月に弱い雇用統計が株価急落のきっかけにもなったこともあり、金融市場への影響が普段以上に警戒されているようだ。
この週最大の焦点といえる8月の米雇用統計の発表が日本時間9月6日夜に迫った。米金融政策の転機を控えるなかで投資家の気分は高揚しており、市場予想を上回るか否かで金融・資本市場が大きく揺さぶられるのは確実だ。
雇用統計は、いつ発表される?
8月の雇用統計は日本時間で今週金曜、9月6日の21:30に発表される。
市場の予想は?
7月から改善するとの声が多い。
ダウ・ジョーンズ通信のまとめた市場予想は雇用者数が前月比16万1000人増、失業率が4.2%。天候要因による下振れの影響があった7月から改善すると見込む声が多い。
米ゴールドマン・サックスは5日付リポートで、米東部時間6日朝(日本時間6日夜)発表の8月の米雇用統計で非農業部門の雇用者数は前月から15万5000人増えると予想した。増加幅は7月(11万4000人)を上回るものの、ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(16万1000人)や過去3カ月の平均(17万人)を下回るとみる。
気になる今後の見通しは?
三井郁男・アイザワ証券投資顧問部ファンドマネージャー「今回は仮に雇用情勢の悪化を示す内容でも、株式相場が8月と同じような展開をたどるとは想定していない。国内の一般企業による高水準の自社株買いが続いているほか、日本株が下がると年金基金によるリバランス(資産配分の調整)を目的とした買いも入りやすいためだ」
米連邦準備理事会(FRB)が17~18日に開く米連邦公開市場委員会(FOMC)で金融緩和策に転換すると確実視されるなか、利下げの幅を「決着」させるとして8月の米雇用統計の注目度が高まる。だが、過去の利下げ局面をみると米雇用統計前後で円相場の流れが変わったことには注意が必要だ。
前回はどうだった?
7月の米雇用統計で非農業部門の雇用者数は前月比11万4000人増とQUICK FactSet Workstationによる市場予想(17万5000人増)と大きく下回り、6月分は下方修正された。失業率は4.3%と6月(4.1%)と横ばいとの市場予想に反して上昇。平均時給は伸び悩み、週平均労働時間は減少した。
その他、関連情報など
▶9月米利下げ幅、にらみ合い続く 0.25%6割・0.5%4割
▶エヌビディア決算パーティー通過、9月相場に不透明感 LA発ニュースを読む
▶米雇用統計 円、141円台まで上昇する可能性低い・MRAの深谷氏
▶米シカゴ連銀総裁、早期の利下げ開始と継続を示唆 雇用に懸念=米インタビュー