自民党総裁選のメディア報道が熱い。9月12日告示・27日投開票だが8月下旬から盛り上がっていた。8月17日~25日の間に行われた主要メディア6社の世論調査で「次の総裁にふさわしい人」への回答では、トップ2は小泉・石破で20%台、3位が高市の10%台、4位以下として河野、上川、小林の3人が5~8%でほぼ並んでいた(姓のみで敬称略。以下同じ)。
9日に発表された9月のQUICK月次調査<株式>では、回答期限では全候補者の立候補表明が終わっておらず主要政策が明らかではない候補者もいたが、「株式市場からみて望ましい候補」と「当選する可能性が高い候補」を問うてみた。
証券会社か投資家のどちらかで「望ましい候補」として10%以上の票を得たのは5人だった。次の表は「全体」の得票率の順に並べたものである。
高市が証券会社票でも投資家票でも小泉・石破を抑えてトップだった。2位の小林は投資家の支持が大きく、斎藤が証券会社の大きい支持で浮上していた。全体では河野・林が7%、茂木が6%で上川は2%に沈んでいる。投資家に高市・小林の支持が大きいのはアベノミクス路線継承への期待か。当選の可能性では、ここまで差がつくかと驚くほど小泉が圧倒していた。小林や斎藤を選んだ人は彼らの当選可能性は全くないと見ていた。
次期首相が取り組むべき最も重要な政策課題は何かを25の選択肢から3つ選んでもらった。全体で10%以上の票を得たのは次の12課題である。重要さの認識が証券会社と投資家でやや異なるので、証券会社票から投資家票を引いた差の順番で並べている。
投資家の方が、財政運営健全化、税・社会保障改革、少子化対策など視点が長期的なようである。産業競争力強化は差こそ最大だが、投資家の中では2番目に多い票を得ている。継続的な賃上げと労働市場の流動化と合わせて重要度認識の差は小さいようだ。河野や小泉が強く主張したことで解雇規制の緩和など労働市場の流動化が新政権発足後の大きな争点になるかもしれない。
DX促進や脱炭素・GXへの票は極めて少なかった。実効性あるコーポレートガバナンス改革は13位以下だが投資家票は13%あった。家計の資産形成の促進と共に投資家はインベストメント・チェーン強化策の継続を望んでいる。今回調査で資産運用立国プランの行方も聞いた。どの候補からも「資産運用立国」という言葉は聞こえてこないが、路線は既に引かれている。回答者は「粛々と実行されていく」と考えているようだ。
【ペンネーム:浪小僧】
調査は9月3日~9月5日にかけて実施し、株式市場関係者136人が回答した。
QUICK月次調査は、株式・債券・外国為替の各市場参加者を対象としたアンケート調査です。1994年の株式調査の開始以来、約30年にわたって毎月調査を実施しています。ご関心のある方はこちらからお問い合わせください。>>QUICKコーポレートサイトへ