【QUICK Money World】1月27日の東京株式市場で、生成AI(人工知能)向け投資で恩恵を受けるとされる銘柄群の下落が目立った。日経平均株価のマイナス寄与度ランキングをみると、アドバンテスト(6857)、ソフトバンクグループ(9984)、東京エレクトロン(8035)が上位に顔を並べた。
中国・杭州のAI開発企業であるDeepSeek(深度求索)が対話型AIの基盤技術である大規模言語モデル(LLM)の「DeepSeek R1」を1月20日にリリースしたことが、ハイテク銘柄の値下がりの要因ではとの指摘があった。Yahoo! リアルタイム検索では一時、「DeepSeekショック」がトレンド入りした。
■新作アプリは首位獲得、ChatGPTを抑えて
米アップル(AAPL)のApp Storeの人気アプリランキングを集計するappfiguresによると、日本時間の27日18時(集計は1時間前時点)の段階で、DeepSeekが無料アプリの1位となっている。OpenAIが提供するChatGPTを2位に抑えて、中国ベンチャーが首位を獲得したことが投資家に衝撃を与えたとも考えられる。
■開発費はまさかの低予算
米CNBCは米国時間24日に「中国の新しいAIモデルDeepSeekがいかに米国の優位性を脅かすか」と題した記事を報じている。DeepSeekは「DeepSeek R1-Lite-Preview」版を24年11月に発表していたが、それからわずか2カ月で600万ドル(1ドル=154円換算で約9億2400万円)に満たない開発費で、しかもエヌビディア(NVIDIA、チッカーNVDA)の性能を限定したH800sと呼ばれるチップを利用して作られたとCNBCは伝えている。
■利用コストの安さも衝撃か
DeepSeekのサイトによれば、DeepSeek-R1のアプリケーション・プログラミング・インターフェース(API)のコストは入力トークン100万個あたり0.55ドル、出力トークンは同2.19ドルとしている。OpenAIが提供する言語モデルの料金一覧をみると、同入力は15ドル、同出力は60ドルとなっている。中国ベンチャーが、安価かつ精度が高い生成AIを開発できたのであれば、米ハイテク巨大企業による巨額投資への懐疑的な見方を呼び、足元で短期的に過熱感があった生成AI関連銘柄の下落につながったとみるのは自然な読みだろう。
■27日の米国市場の反応待ちか
日経平均構成銘柄の値下がり率ランキングをみると、フジクラ(5803)やソフトバンクグループ(9984)といった銘柄の値下がりが目立ったが、前場寄り付きは前週末に比べ値上がりで始まっていた。仮に「DeepSeekショック」が生成AIの下落要因とみるならば、前場始値から下落してもおかしくはなかった。時間経過とともに開発に関する洞察と分析が進んで後場のハイテク株急落につながったとも考えられる。短期的な過熱感から「売り」のきっかけを探していただけなのか、巨額なAI投資の妥当性を問う事例なのか、東京市場だけでは判断は難しい。アナリストなどによる詳細な分析が待たれるが、短期的には、27日の米国株式市場でエヌビディア株がどのような値動きをみせるかが手掛かりともなりそうだ。