アメリカ半導体大手のエヌビディア(NVIDIA、NVDA)は現地時間2月26日、第4四半期となる24年11月~25年1月期の決算を発表する。生成AI(人工知能)ブームの大本命と目される銘柄とあって、決算の内容はエヌビディアの株価だけでなく、半導体関連銘柄や株式相場全体に影響する可能性があり注目される。この記事ではエヌビディアの決算発表について、QUICK Money World掲載記事をもとにスケジュールや市場予想などの情報をまとめた。
(2025/2/27 20:37更新) 米半導体大手エヌビディア(NVIDIA、NVDA)が26日発表した2024年11〜25年1月期決算は、売上高が前年同期比78%増の393億3100万ドルで、ファクトセットがまとめた市場予想を上回った。
エヌビディアの決算、売上高78%増 実績・見通しともに市場予想上回る
エヌビディアの決算について、証券アナリストの見解をまとめた。
エヌビディア決算の見方 「利益率に失望」「ブラックウェルは想定以上」米アナリスト
エヌビディアとは?
米株式市場に上場する半導体最大手の企業。生成AI(人工知能)の情報処理に必要な半導体の開発で知られる。AIブームの追い風を受けて業績や株価が急伸した。24年11月にはダウ工業株30種平均の構成銘柄にも採用されている。
AI半導体に強みを持ち、特に「GPU(画像処理半導体)」で有名です。GPUとはコンピュータのハードウェアの一部で、画像などの描画を高速で処理するのに優れています。もともとはゲームなどの映像を高速処理しなめらかに表示させるために設計されましたが、大量のデータを高速に並列処理する優れた能力の高さからAIに事例を覚えさせる段階で活用されるようになりました。その処理能力の高さから、AIデータセンターでも広く使われています。
エヌビディアは「世界のAIインフラのエンジン」と自負する。マイクロソフトやメタプラットフォームズなどのAIサービスに加え、自動運転からヘルスケア、気象予測まで幅広い業界に携わり、エヌビディアのAI技術を使う顧客は4万超。22年にはメタバース(仮想空間)の開発プラットフォーム「オムニバース」を投入し、AIを搭載したヒューマノイド(ヒト型ロボット)の開発などにも取り組む。
1月には、中国の人工知能(AI)開発企業Deepseek(ディープシーク)の台頭で、米国の優位性が脅かされるとの警戒感が一気に広がった。現在は市場は落ち着きを取り戻しており、「Deepseekショック」への市場の懸念は行き過ぎたものだったとの見方も出てきている。
中国の人工知能(AI)開発企業Deepseek(ディープシーク)が急速に存在感を強めている。米国の優位性が脅かされるとの警戒感が広がるなか、27日の米株式市場では画像処理半導体(GPU)のエヌビディア(NVIDIA、チッカーNVDA)が17%近く下落。ハイテク株に売りが広がり、ナスダック総合株価指数は3%安となった。
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エヌビディアの決算、日本時間のいつ頃に発表?
米国株式市場の取引終了後、日本時間の27日午前6時以降に発表される。
事前予想は?
市場では増収増益が続くと予想されている。
FACTSET集計の市場予想(21日時点)は売上高が前年同期比72%増の380億ドル、純利益が同58%増の194億ドルと増収増益を見込む。24年11月時点の会社発表資料では、2024年11月~25年1月期の売上高は375億ドルプラスマイナス2%と予想している。
11~1月期の部門別売上高の市場予想は、主力のデータセンターが336億5000万ドルと前年同期比83%増える見込みだ。人工知能(AI)半導体の需要拡大でデータセンター部門の好調が続くとみられる。
市場のプロの分析は?
専門家の間では、DeepSeekの影響を考慮してもなおエヌビディアの半導体に対する需要は今後も増加するとの見方が根強い。AI開発競争の激化が見込まれ、市場ではAI投資の費用対効果への視線が一段と厳しくなる中、決算と同時に発表される売上高見通しにも関心が集まっている。
1月下旬、中国の人工知能(AI)企業「DeepSeek(ディープシーク)」が低コスト生成AIモデルを開発し利用者が急増したのを受け、エヌビディアを含む米テック大手の株価が軒並み全面安となる場面があった。ただ、高性能AIの社会実装が今後も増えていく公算は大きく、エヌビディアの半導体に対する需要は今後も増加するとの見方が根強い。
DeepSeekの件が落ち着きつつあり、目線は業績に移りつつあります。TSMCの決算が好調だったので、業績や見通しは堅調なのでしょう。
エヌビディアが好決算・好業績を示せば地合い改善に繋がるとの声が多い一方、弱い見通しを織り込み済みで余り動かないだろうとの声もあったという。では欧米のアナリストはどのように見ているのか。米大手金融機関は…
同時に発表する25年2~4月期見通しについては、売上高の市場予想が前年同期比62%増の420億7000万ドル、特別項目を除く売上高総利益率は72.2%(前年同期は78.9%)が見込まれる。
トランプ新政権は中国からの輸入品に対して10%の追加関税を発効した。鉄鋼製品・アルミニウムや、カナダ・メキシコからの輸入品への25%の一律関税は3月に発効される見込みだ。今後、半導体への関税が発動された場合、エヌビディアの業績に影響を与えるのではと警戒する声もある。
トランプ氏は欧州連合(EU)からの輸入品、さらには米国外からの半導体や医薬品などへも関税を引き上げる可能性を示唆している。仮に半導体への関税が発動された場合、台湾で生産するエヌビディアなど米大手ハイテク株の調達コストの上昇につながり、利益率の悪化が警戒されることになる。
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