4月30日(水)から5月1日(木)にかけて日銀の金融政策決定会合が開かれる。市場では、今回の会合では追加利上げは見送り、政策金利は現在の0.5%で据え置かれるとの見方が多い。この記事では、QUICK Money Worldの関連記事を中心に日銀金融政策決定会合のスケジュールや市場の予想などをまとめて解説する。
日銀の金融政策決定会合とは?
日本銀行の政策委員会が金融政策運営を討議・決定する会合で、年8回開催される。会合終了後には直ちに決定内容が公表される。
日銀が足元の景気や先行きについてどう見ているのか、金融政策をどう動かしていくのかを知る絶好の機会として、市場参加者の関心が非常に高いイベントとなっています。会合の結果そのものはもちろん、会合後に開かれる日銀総裁の記者会見や、会合の前後によく目にする、日銀がどう動くのかを先読み、深読みする解説記事も注目されます。それらを手掛かりに投資家らが動くことで株式市場や債券市場、為替市場に大きく影響を与えるイベントなのです。
会合での議論内容については、会合で出た主な発言をまとめた「主な意見」や議論の詳細や流れをまとめた「議事要旨」が後日公表される。今回の会合については「主な意見」が5月 13日(火)に、「議事要旨」が6月20日(金)にそれぞれ公表される。
金融政策決定会合はいつ開催される? 結果発表はいつ?
2025年4月の金融政策決定会合は4月30日(水)~5月1日(木)の2日間にわたって開催される。
政策金利を含む決定内容が市場に伝わるのは会合終了直後だ。昼ごろの発表となることが多く、前回(3月)の会合では12時前に一報が伝わった。
前回は、全員一致で政策金利の据え置きを決めた。
過去の金融政策決定会合の終了時刻は以下の通り。
【2025年】
1月24日 12時16分 追加利上げ決定 無担保コール翌日物金利を0.50%に引き上げ、貸出増加支援資金供給の新規貸し付け終了決定、展望リポート【2024年】
12月19日 11時45分 現状維持、「多角的レビュー」を公表
10月31日 11時41分 現状維持
9月20日 11時45分 現状維持
7月31日 12時49分 追加利上げ決定 無担保コール翌日物金利を0.25%に引き上げ、国債購入額を26年1~3月期に月3兆円程度に減額する具体的計画を公表。展望リポート
6月14日 12時16分 無担保コール翌日物金利をゼロ~0.1%に据え置き、国債買い入れを減額していく方針を決定
4月26日 12時15分 現状維持、展望リポート
3月19日 12時28分 無担保コール翌日物金利をゼロ~0.1%に、マイナス金利解除、長短金利操作撤廃
1月23日 12時02分 現状維持、展望リポート
市場の予想は?
金融市場では、4月の金融政策決定会合で日銀は追加利上げが見送るという見方が根強い。今回は会合終了後に「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」が発表される予定で、日銀が今後の物価や経済成長率についてどのような見通しを示すのか注目される。
30日から5月1日にかけて開かれる日銀の金融政策決定会合では、追加利上げが見送られる公算が大きい。焦点は会合終了時に発表される「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」だ。今回は27年度の物価や経済成長率の見通しが初めて示される。
これまでの要人発言・報道
日銀の中川順子審議委員は4月17日の講演で、利上げ継続姿勢を維持していることを明確にした。日銀の経済・物価の見通しが実現するなら「引き続き政策金利を引き上げる」と明言。ただ、米関税政策の影響など「不透明感が一層高まっている状況」との認識も示し、政策判断を慎重に進めたい思いをにじませた。
日銀の植田和男総裁は17日に出席した参院財政金融委員会で、米関税政策が国内経済の「下押し圧力になる」との認識を示したほか、日銀の中川順子審議委員が群馬県の金融経済懇談会で、「不透明感が一層高まっている状況」などと発言し、追加利上げに慎重との見方が強まった。。
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気になる市場関係者の見通し
ゴールドマン・サックス証券は4月14日付のリポートで、日銀の金融政策運営を巡って「(円相場の1ドル=)130円が視野に入ってくれば、利上げを止める可能性がある」との考えを示した。一方、160円を超えて円安が進んだり、円安が進むリスクがあると日銀が考えた場合には「利上げを前倒しあるいは加速」するとの見方を示した。
為替相場への影響は?
会合終了後に開かれる植田総裁の会見の内容によっては、会合後は円売りが徐々に優勢になっていくという見方もある。今後の利上げスタンスがどのように示されるかに注目だ。
日銀は4月30日から5月1日に金融政策決定会合を開くが、会合後の記者会見では、植田和男総裁から(金融引き締めに慎重な)ハト派な発言が出てくると予想しており、会合後は円売りが徐々に優勢になっていくだろう。1ドル=145円台まで下落余地があるとみている。
インフレ圧力による利下げペースの減速、さらには利下げ停止となれば、株価にはマイナス要因になりそうです。一方、外国為替市場はドル円相場でみれば日銀が利上げ局面にあることから過度の円安・ドル高は見込みにくいと考えられるものの、FRBの利下げペースが鈍化することになれば、ドル高圧力も一定程度強まることも予想されます。
前回はどうだった?
前回今年3月の会合で、日銀は政策金利の据え置きを決定した。
日銀は3月18~19日に開いた金融政策決定会合で、金融政策の現状維持を決定した。政策金利である無担保コールレート(オーバーナイト物)の誘導目標を現状の0.5%程度に据え置くことを全員一致で決定した。
日銀は3月28日、18~19日に開いた金融政策決定会合での「主な意見」を公表した。政策運営を巡って「経済・物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していく」との考えが改めて示された。
日銀3月会合の主な意見「経済物価見通し実現なら、引き続き利上げ」
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