ドルの対円相場に下落圧力がかかっている。13日のニューヨーク外国為替市場でドルは対円で一時1ドル=107円40銭まで売られ、2017年9月8日につけた17年の安値(107円32銭)に迫った。世界的な株安の余波が続くなか、節目を更新すればドル安・円高に弾みがつきかねない。
13日のドル安進行は、米株が下げる場面で米長期金利の指標となる10年物米国債の利回りが低下(価格は上昇)したのが主因。昨年末以降、ドルと米長期金利の連動性が薄れ、米金利が上昇してもドルは下落していたが、再び以前の関係を取り戻しつつある。
SMBC日興証券の野地慎チーフ為替・外債ストラテジストは「足元では米国10年債利回りにピークアウトの兆しが見えるなか、ドル円が下落するという反応が見られている。あといくばくかの米国10年債利回りの低下があれば、ドル円が17年9月8日安値107円32銭をブレイクする」と予想。ブレークした場合、「108~114 円という2017年のドル円レンジのほぼ完全な『下方シフト』が生じる」という。
シティグループ証券の高島修チーフFXストラテジストは14日のリポートで、日銀の黒田東彦総裁の再任報道を巡り安倍晋三首相が「白紙」と発言したことが円高・ドル安を招いたと指摘。ドル円は「2016年6月以降の上げ幅の61.8%押し(106円50銭前後)を下値メドに下値警戒が必要な局面」とみていた。そこから先は月足の雲の下限(100円60銭前後)までドル円を下支えするテクニカルな要因は見当たらないという。
【QUICKナレッジコンテンツグループ・大谷篤】