バンクオブアメリカ・メリルリンチは15日に定例の機関投資家調査を発表した。株式相場の上昇が続くとの見方が依然として根強いことが明らかになった。投資家の76%が株式相場はまだピークを付けていないと回答。このうち大半は「2019年かそれ以降」まで株高が続くと予想している。すでに天井を打ったとの回答は19%にとどまった。グローバルの機関投資家は現在の投資環境をどう見ているのか。調査の中に興味深い項目がいくつかあった。
▼エネルギーと素材の配分は出遅れ
「コモディティの資産配分は8年ぶりの高水準に近い。しかし、エネルギー株と素材株の配分は出遅れたまま。その結果、年初来で多くの市場参加者には『ペイントレード』が発生している」
「石油価格が過大評価だというネットの回答比率は、先月のマイナス1%から今月はプラス21%へと22ポイントも上昇した。このネットの回答比率は、WTIの平均価格が106ドルだった2013年9月以来の高い水準になる」
▼景気後退いつ
「年内に景気後退に陥ると予想した機関投資家は全体の2%にすぎない。景気後退入りのコンセンサス予想は2020年1~3月期ということになるが、年別に見ると、19年が41%、20年以降が43%とほぼ二分された」
「半分以上の機関投資家は、(米国で)長短金利の逆転があったとしても、来年以降の話だと考えているようだ」
▼マジックナンバーは3.60%
「機関投資家は米10年国債利回りの3.60%が、株式から債券へのローテーションを引き起こす『マジックナンバー』と考えており、先月調査の3.50%から小幅上昇した」
▼企業収益の改善期待はわずか
「今後12カ月で世界的な企業収益が改善すると回答したネットの比率はわずか10%となり、Brexitショック直後の低い水準に落ち込んだ。過去のパターンによれば、今後数カ月間でディフェンシブ株は景気敏感株をアウトパフォームする可能性が高い」
(岩切清司)
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