よみがえる2013年5月22日の記憶ーー。現在の状況は、バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長が量的金融緩和の縮小を示唆し、市場を混乱させた「テーパー・タントラム」の時と似ている。
アジアの新興国のなかでも米ドル建ての借り入れが多いインドネシアから、外国資本が流出するとの思惑が強まっているという。背景にあるのはファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)の弱さだが、これまで金融緩和の姿勢をとってきたインドネシア銀行(中央銀行)のアグス・マルトワルドジョ総裁の任期が5月に満了し、「タカ派」と目されるペリー・ワルジョ副総裁が次期総裁に就くことも売り材料視されている。景気減速と通貨安のなか、新総裁は難しいかじ取りを迫られることになりそうだ。
インドネシアの長期金利の上昇(債券価格の下落、グラフ赤)は海外投資家の売りが主因と指摘されており、財政赤字拡大を懸念した米ドルへの回帰との見方が有力だ。株(グラフ緑)と債券(赤)と通貨(青)のトリプル安という、スパイラル的な売りを仕掛けるのに格好の標的となっているようだ。(丹下智博)
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