週明けのアジア市場でトルコリラ売りが再開された。外国為替市場では一時、1リラ=15円台に突入。対ドルでは1ドル=7リラ台にまで下落した場面もあった。通貨の下落は次第にトルコの信用リスクへと形を変えつつある。
QUICK FactSet Workstationによると前週末時点のトルコの1年物クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)は289にまで上昇。2月に50前後で推移していた水準と比べ5.8倍にも達する。国際金融システムに影響が波及するとの見方は乏しいものの、スペインといった一部の欧州金融機関については不安ももたげる。世界的に投資家心理の重荷となりそうだ。
12日付の英フィナンシャル・タイムズ(FT)電子版は「エルドアン大統領がトルコ経済を落とそうとしている外国を攻撃しているが、通貨リラの下落を止める緊急計画の兆候は見られない」と報じた。エルドアン氏は10日付の米紙ニューヨーク・タイムズ電子版に「トルコはアメリカとの間の危機をどう見ているか」と題する論文を寄稿し、トランプ政権に対して同盟が危機に直面していると指摘したほか、「トルコは他の友好国、同盟国を模索する」として米国以外の国との連携を強化する方針を示唆していた。
FT紙によれば、エルドアン氏は12日に諸外国を批判。与党幹部との会合では「この嵐の原因は難だ?」と足元のリラ安について述べつつ、「経済的な理由はない、トルコ戦争だ」と指摘したとのこと。記事の中では市場関係者の見方として、リラは1ドル=10リラに向かうだろうと指摘していた。(岩切清司、片平正ニ)
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