13日にドル指数(DXY)が大幅に3日続伸し、1.19%高の96.31で終えた。一時は96.52まで上昇して2017年6月以来、1年2カ月ぶりの高値水準を回復した。この日の為替市場でトルコリラ(TRY)の急落を受けて南アランド(ZAR)など新興国通貨に売りが伝染(コンテージョン)する中、ドル高の流れが強まった。
QUICK FactSet WorkstationによればZARは1ドル=15.51ZARまでドル高ZAR安が進み、前日比で10%超急落して2年ぶりの安値水準を付ける場面があった。アルゼンチンペソ(ARS)は1ドル=30ARSの大台を突破して史上最安値を更新。アルゼンチン中銀がこの日、政策金利を500bp引き上げて年45%にする5月以来の緊急利上げを行ったことで終値では29ARS台でややペソ安が一服したが、トルコリラの急落を受けて新興国通貨が弱い流れが続いている。
QUICK FactSet Workstationで新興国通貨を指数化したところ、年初来の下落率が対ドルで最も大きかったのはTRY(グラフ赤)で181.34%。これにARS(グラフ青、160.92%)、ロシアルーブル(グラフ白、RUB、117.53%)、ブラジルレアル(グラフ濃緑、BRL、117.21%)などが続いている。
もっとも、コンテージョンとはいっても新興国通貨の売られ方には温度差がある。そもそも米国の利上げという逆風が吹き続けているし、トルコ問題に端を発して信用問題が他の新興国にも広がる可能性を論じるには無理がある。
新興国という角度より、米国と喧嘩しているかどうかがポイントと言える。ロシアのルーブルはトルコリラと似たようなチャートを描いている。また下落圧力が高まっているのは中国の人民元も同じ。外交面で米国から制裁を受けているか通商問題を抱えている点で共通している。市場は今、トランプ米大統領に盾突く国の通貨を狙い撃ちにしているとみた方がいいのではないか。(片平正ニ、岩切清司)
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