29日の米市場で主要な株価指数が最高値を更新した。中でもハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数は大台の8000ドル台に乗せた後も失速の気配が見えない。対照的なのが時価総額の大きいネット関連株で構成される「FANGプラス指数」だ。
FANGプラス指数は29日に反発し0.66%高の2907.78で引けたが、6月20日に付けた高値(3045)には届かない。指数の中身を見ると明暗がはっきりする。米市場の年初にあたる1月2日を100として構成銘柄のパフォーマンスを比較すると、最も高い成績を出したのが動画配信のネットフリックス。これに株価が2000ドルに迫ったアマゾン・ドット・コムが続く。
一方で中国ネット検索大手の百度(バイドゥ)の米預託証券(ADR)は年初の水準を約7%下回っている。同様に中国のネット小売り大手アリババ集団も安いままだ。ネットフリックスとの差は86ポイントに開くなど、投資の仕方によって運用成績が大きく左右されている様子が浮かぶ。中国景気の先行きに対する警戒感や、その背景にある米中貿易戦争への懸念が中国関連の重荷だ。
またデータの不正利用が発覚して株価が急落したフェイスブックは株価の戻りが鈍い。株式の非上場化を宣言しておきながら撤回したテスラもひと頃の輝きが失せたように見える。
米株式相場が高値を更新している中で、投資家はしっかり選別を進めているようだ。
(岩切清司)
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