国内最大のゲーム見本市「東京ゲームショウ」が20日に開幕する。スマートフォン(スマホ)ゲームやVR(仮想現実)など見どころはたくさんあるが、なかでも注目はビデオゲームでスポーツのようにユーザーが腕を競う「eスポーツ」だ。昨年も話題を集めたが、今年は出展エリアがより拡大して一段の盛り上がりが期待される。
近年は会場だけでなくスマートフォン(スマホ)を通じたネット動画で観戦を楽しむ人も増えている。海外を中心に高額賞金の大会が増えていることも参加者のレベル向上や、観戦者数の増加につながっている。インドネシアのジャカルタで8月に開かれたアジア競技大会でeスポーツは公開競技になった。
総務省がまとめた「eスポーツ産業に関する調査研究報告書」によると、eスポーツの2017年の世界市場規模は700億円程度だが、21年には1700億円程度に拡大するとの見方が紹介されている。国内の市場規模は17年時点で5億円未満にとどまっており、成長余地は大きい。これまで米国や韓国、中国が先行してきた分野だが、市場では「五輪の正式種目に採用されるとの期待があり、国内でも世間一般に評価されるようになる可能性は高まっている」(松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリスト)との声が聞かれる。
関連銘柄は少なくない。ゲームメーカーはソフトの開発はもちろんのこと、コナミホールディングス(9766、グラフ青)は強みを持つ野球コンテンツでeスポーツのイベントを実施していく。カプコン(9697、グラフ赤)も格闘ゲームのeスポーツ大会といった関連イベントを積極開催する方針を示すなど、単にソフト販売にとどまらない力の入れようだ。
eスポーツは画面上の相手の動きを素早くとらえて的確に反応できるかが勝敗を分けるため、高性能の液晶モニターやマウスなど関連機器も重要になる。アイ・オー・データ機器(6916)やエレコム(6750)にとって商機につながるほか、関連機器を販売する家電量販店も潤うだろう。
通信業界にも恩恵を与えそうだ。NTTドコモ(9437)は次世代通信方式(5G)技術を用い、スマホに絞ったeスポーツイベントを10月に開催する。同社は「今はまだパソコンなどを使って戦うプレーヤーが多いが、次第にスマホが増えて5G技術の活用が増える」(コンシューマビジネス推進部)とみる。KDDI(9433)は5G技術の普及を見据え、eスポーツの競技団体である「日本eスポーツ連合」と8月に公式スポンサー契約を結んだ。
eスポーツで出遅れたとはいえ、任天堂(7974)の「ファミリーコンピュータ」や「ニンテンドーDS」、ソニー(6758)の「プレイステーション」が世界を席巻した「ゲーム先進国」でもある日本。市場成長に弾みがつけば、本格参入する企業も相次ぐ公算が大きい。
【日経QUICKニュース(NQN) 内山佑輔】
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