6日投開票の米中間選挙は日本時間7日午後には大勢が判明する見通しだ。トランプ大統領の2年間の業績を占う信任投票の意味合いがあり、残り2年の任期がレームダック化するのか、さらにトランプ流が激しさを増すのかを占う上で与党・共和党の趨勢が注目されている。
選挙分析サイトのファイブ・サーティー・エイトによれば5日時点で上院で共和党が過半数を維持する確率が83.2%と見込まれる一方、下院では共和党が過半数を維持する確率が12.5%にとどまっており、他の調査も含めて上院・民主党、下院・共和党のねじれ状態になるとみられている。
獲得議席の予測
上院 現有 民主党 49 共和党 51
改選後 48 50(五分五分2名)
※上院は3分の1の25議席が改選
下院 現有 民主党 195 共和党 240
改選後 220 197(五分五分18名)
(注)出所:選挙結果予測サイト「ファイブ・サーティー・エイト(538)」のデータを基に作成
2016年の英Brexit国民投票、米大統領選挙で世論調査と真逆の結果が出た事でサプライズが警戒されそうだが、投票システムにハッキングが行われたり、上下両院とも民主党が過半数を占めるような事にならない限りネガティブ・サプライズは避けられそう。むしろ、米最高裁判事に指名されたブレット・カバノー氏の承認で議会上院の重要性を意識した共和党が急速に巻き返しているとの見方もあり、ねじれ状態ではなく、上院も共和党が過半数を維持するようなことになればポジティブ・サプライズとなる可能性もゼロでは無い。
ゴールドマン・サックスは4日付のリポートで、「議会がねじれ状態となることは経済政策で今後2年間行き詰まり状態に陥ることを意味するが、上下院とも議席の差はかなりタイトで、投票率が上昇する事による投票行動はかなり不確実性が増している」などと指摘。「上下両院とも民主党、または共和党になる可能性は十分にある」とねじれ状態以外の不測の事態も指摘しつつ、「民主党が上下院を完全にコントロールしない限り、短期的な成長見通しに変化は起きない」とファンダメンタルズへの影響は小さいと指摘した。
また、トランプ大統領と議会民主党がインフラ投資のパッケージで修正協議を行う可能性があるとしつつ、「2020年の米大統領選挙でトランプ氏と争うと見込まれる上院議員を含む民主党上院が直ぐに合意する事は難しいだろう」とし、財政政策を巡ってトランプ政権と議会民主党の対立が続く可能性を指摘した。共和党が上下両院で多数派を維持すれば2019年末から2020年初頭の国内総生産(GDP)を0.3パーセントポイント押し上げる効果があるとも指摘した。
その一方、中間選挙後の貿易紛争を巡っては「ホワイトハウスが議会の支援なしに貿易政策を支配しているため、選挙結果が貿易政策にどのように影響するかを言うのは難しい」と指摘。「現時点では最終的に全ての中国からの輸入品に関税の引き上げが続くだろう。我々の分析では、これが米国の成長に及ぼす影響は限定的だが、中国が多国籍企業の活動を阻害するなど非関税措置による報復を広げた場合、(経済成長の)リスクはダウンサイドに傾く」と指摘した。米中の貿易紛争・政治問題は長期化が避けられないようだ。(片平正ニ)
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