先週末9日の米国市場でWTI原油が10日続落し、中心限月の12月限の清算値は前日比0.79%安の60.19ドルとなった。中心限月の清算値ベースで3月8日以来、8カ月ぶりの安値に沈んだことになる。WTI原油が10日続落するのは1984年以来、34年ぶりのこと。WTI原油は一時節目の60ドルを割り込み、2月中旬以来およそ9カ月ぶりの安値を付ける場面もあった。
米商品先物取引委員会(CFTC)が9日に発表したポジション動向によれば、WTIの投機ポジションは6日時点で40万3783枚のネットロング状態にある。6週連続でロング規模が縮小し、ネットロング規模は2017年9月12日以来の低水準まで縮小した。それでも高水準のロング状態に変わりはなく、相場の下落を受けてさらなるWTIロングの解消が見込まれそうだ。
石油サービス会社ベーカー・ヒューズが9日に公表した米国の石油掘削装置(リグ)の稼働数は前週から12基増の886基だった。週間での増加幅は5月末以来およそ5カ月半ぶりの多さとなったほか、稼働数は2015年3月以来およそ3年8カ月ぶりの高水準となった。
米国が中国や日本を含む一部の国に対してイラン産原油の適用除外を認めたことをきっかけに一段と需給の緩みが意識されているが、米国での週間産油量の増加も相場の重荷となっている。
もともとリグ稼働数はWTI原油先物に遅行する傾向があるが、足元の原油先物相場が下げを強めるなか、トレンドに変化が出るのか関心を集めそうだ。(片平正ニ、池谷信久、中山桂一)
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