17日の米国市場でWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油先物が一時49.09ドルまで下落。2017年9月以来、約1年3カ月ぶりの安値を付けた。供給過剰懸念や中国や欧州の経済指標悪化を受けた前週からのリスクオフの流れの継続が背景。ダウ平均も500ドルを超す下落となって終えている。
原油相場の下落を受け、市場の期待インフレを現す米ブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)も1.81%と17年9月以来の水準まで低下した。18~19日の米連邦公開市場委員会(FOMC)におけるハト派化観測を後押しすることになりそうだ。
■米BEIとWTIの比較チャート
この日はブレント原油も安く、清算値は1.1%安の1バレル=59.61ドルだった。この結果、ブレント原油とWTIのスプレッドは9.73ドルとなっている。10月以降の下げ相場の過程で、ブレント原油とWTIのスプレッドは一時12ドルを超えたが、足元では9ドル台で縮小傾向にあった。しかし、米国内の原油生産量の増加が警戒されるほか、米株安を受けてリスク・オフの動きが強まるようだと、下げ相場の中でスプレッドの拡大を伴いながらWTIの下げがキツくなる恐れがありそう。(池谷信久、片平正ニ)
■ブレントとWTIのスプレッド(緑・左軸)の推移
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