ここへきて米国の利上げ停止を後押しするような出来事が目立ち始めた。
CMEの「Fedウォッチ」によると、3月のFOMCで利上げが見送られる確率は9割強にのぼる。19年中に政策金利の変更が行われない確率は7割弱。利上げ確率は2割弱。利下げ確率は1割強となっているが、ここにきて利上げを後押しする材料が相次ぎ、タカ派とみられていたカンザスシティー連銀のジョージ総裁が講演で、利上げ停止に理解を示すハト派的な発言をしている。
15日発表された2018年12月の米卸売物価指数(PPI)は前月比0.2%低下と市場予想(0.1%低下)を下回り、1年10カ月ぶりに前月比で低下した。前年比は2.5%上昇と市場予想通りだった。また、変動の激しい食品とエネルギーを除いたコア指数は前月比0.1%低下と市場予想(0.2%上昇)に反してマイナスとなった。マイナスとなるのは1年ぶり。前年比でも2.7%上昇と市場予想(3.0%上昇)を下回り、インフレ圧力が抑制されたままであることが示唆された。
さらに同日に発表された19年1月ニューヨーク連銀製造業景況指数は3.9と2カ月連続の大幅な低下。市場予想(12.4)を大きく下回り、2017年5月以来の低水準となった(茶色折れ線グラフ)。米景気減速の兆しの一つと捉えられよう。18年12月の株価下落が実体経済に与える悪影響が懸念されるなかで、他の製造業景況指数に先駆けての「1月分のデータ」として同指数が注目されていた。
(チャートはいずれもQUICK FactSet Workstationより)
今後は17日のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、2月1日のISM製造業景況指数と順に景気減速の兆候を見極めて行くという流れが続くこととなる。(池谷信久、丹下智博)
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