年間6兆円規模に達する本石砲(日銀のETF買い)に関する議論が巻き起こっている。先週22~23日に開かれた日銀金融政策決定会合に向けてETF購入配分の変更があるのではないかとの見方が浮上したほか、持続性への問題提起も出始めた。
JPモルガン証券は28日、「日銀はいつまでETF購入を続けられるか」と題したリポートを発行した。日銀のETF購入の持続性を検証し、先行きに警鐘を鳴らす。阪上亮太氏らは「日銀がETF購入を減額あるいは変更しなければならない臨界点は目先ではないが徐々に迫っている」とみる。
今回の検証で懸念したのは日銀のETFの時価が簿価を割り込む事態だ。TOPIXが1400を下回ると日銀が保有するETF全体の簿価を時価が下回り、同様にTOPIXが1200を下回ると資本勘定の法定準備金が枯渇するという。昨年末の世界株安でつけたTOPIXの直近安値(12月25日)は1415.55だ。日銀の財務悪化に伴い政府による損失補填の必要性が生じるため購入の打ち切りや減額を余儀なくされる可能性を指摘する。その場合、日本市場には売りが売りを呼ぶリスクがあるとする。
前回の決定会合では購入配分変更は起きなかったが、ファーストリテイリング(9983)など一部の値がさ株では日銀の保有比率が20%に接近するものがある。日本株の大きな買い手である日銀のETF買いは需給を歪めているなどの指摘もある。(中山桂一)
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