欧州中央銀行(ECB)が利上げの先送りと銀行への新たな資金供給策(TLTRO3)を発表したことで欧州圏の国債利回りが急低下した。独10年債利回りは0.07%と2016年10月以来の低水準、仏10年債も同16年末以来の低水準となった。
ECBはこれまでの「少なくとも2019年夏まで」としていたフォワードガイダンスを「少なくとも今年の末まで」と19年中の利上げを断念、先送りするとした。また、20年6月に償還を迎えるTLTROⅡ(期間4年)を意識して、今年9月から期間2年のTLTROⅢの導入を発表した。これを好感して南欧国債の利回りも大きく低下した。
■長期金利は急低下した(ドイツ=グラフ赤、フランス=黒)
(薄いグリーンはECBのバランスシート)
ECB理事会の結果を受け、金利低下により利ざやが縮小するとの見方からドイツ銀行が5%超の下落となった。スペイン銀行大手のサンタンデール銀行が3.51%安となったほか、BNPパリバやクレディ・アグリコルの下落率は3%を超えた。(丹下智博、中山桂一)
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