経済産業省は3月29日に2月の鉱工業指数(速報値)を発表する。日ごろは鉱工業生産活動の全体的な水準を示す生産指数に関心が集中するが、今回は在庫率指数が重要だ。昨年末以降、国内景気は減速感が強まっているが、電子部品を中心に在庫整理がそろそろ一巡し、景気サイクルは短期的に底入れするとの見方がある。こうした期待が数値で示されれば、株式市場は明るさを取り戻しそうだ。
※経済産業省のホームページ(https://www.meti.go.jp/index.html)→統計→主要統計→指数→鉱工業指数(IIP)で確認できます。
在庫率指数は在庫量を出荷量で割って算出する在庫率を、基準年を100として指数化する。在庫率指数に対する評価は景気サイクルの局面によって変わるため単純には言えないが、現在のような「足踏み」の場面では在庫率指数の低下は株式市場で好感されやすい。「在庫調整が進み、製造業のマージン(利幅)低下に歯止めがかかる」と受け止められるからだ。
19年1月の在庫率指数(2015年=100)は前月比1.1%低下の106.4。直近ピークは18年1月の109.7、ボトムは18年11月の102.4だ。SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストは「中国の春節(旧正月)などの影響で2月は出荷が持ち直すため、在庫率指数は低下するだろう」とみる。
業種別では電子部品・デバイス工業と化粧品に注目だ。電子部品・デバイス工業は1月が0.1%低下の83.1と直近ピークの18年9月から22%下がり、過去5年平均(83.2)並みとなった。さらに低下すれば、株式市場では電子部品メーカーの利幅縮小懸念が後退し、例えば村田製作所(6981)など、関連銘柄に買いが広がる可能性がある。
一方、化粧品は1月が120.8と4.1%低下したが、なお5年平均(100.8)を大きく上回る。化粧品メーカーはインバウンド(訪日外国人)需要の拡大を見込み、足元で在庫を大きく積み上げた。在庫調整が進んでいないようだと、資生堂(4911)など関連株の上値が重くなる公算が大きい。
〔日経QUICKニュース(NQN) 鈴木孝太朗〕
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