物流や輸送から、警備や監視、災害対応、測量、撮影、農薬散布用まで形状や性能はいろいろ。小型無人機「ドローン」のデモ飛行や産業応用事例のプレゼンテーションには、どこも人だかり。取材で訪れた「第5回国際ドローン展」(17~19日、幕張メッセ)で、改めてドローンに対する注目度の高さを実感した。
ドローンは各種規制の影響で諸外国に比べて出遅れ感が否めないが、人手不足が深刻な農業や建設などの分野で着実に市場規模が拡大しているうえ、足元で規制緩和の動きが出ているのが追い風だ。さらに、2020年から本格的な商用化が始まる5G技術の普及で高精細の映像を送受信しやすくなるほか、ドローンが移動中の通信も安定するため、物流やインフラ点検など活躍の場が広がるとみられる。
関係者で混み合う国際ドローン展(千葉・幕張メッセ)
インプレス総合研究所によると、2018年度の日本国内のドローンビジネスの市場規模は前年比85%増の931億円で、2019年度も前年比56%増の1450億円に拡大する見通し。2024年度には5073億円(2018年度比で約5.4倍)に達すると見込まれている。また、プライスウォーターハウスクーパースによれば、ドローンを使った商用サービスの潜在的な市場規模は世界で1270億ドル(約14兆円)に達するという。
国内ドローン市場が諸外国に比べて出遅れているのは、各種規制の影響だろう。ドローンの事故が相次ぎ社会問題化した2015年にドローン規制が施行された。規制には、道路交通法、電波法、各都道府県の条例などあるが、カギを握るのは航空法だ。航空法ではドローンに関して、日中に飛行させることや、イベントなど人の多く集まる場所での飛行禁止、危険物の輸送や物を落とすことなどを禁止している。
しかし、足元で徐々に規制緩和の動きが強まっている。18年に飛行制限が緩和され、無人地帯では人の目が届く範囲外でもドローンを飛ばせるようになり、人が遠隔地からタブレット端末で航路を指示して自動飛行するような使い方が可能になった。19年からはトンネルや橋などインフラの定期点検で目視確認の条件が緩和され、需要拡大が見込まれる。
ドローン関連ビジネスを手掛ける銘柄はいくつかある。空中写真測量専用ドローンのトプコン(7732)、ドローンによる三次元測量支援サービスのパスコ(9232)、航空測量のためのドローンパイロットスクールを運営するアジア航測(9233)、ドローン配送サービス開始予定の楽天(4755)などあるが、いずれも本業ではない。
そこで注目したいのがドローンビジネスを本業としている、産業用ドローン開発の自律制御システム研究所(ACSL、6232)だ。操縦者の介入が不要なドローンの自動制御技術が強みで、地下などGPSが使えない環境で飛ばせるドローンも商用化している。先行投資負担が重く赤字が続いているが、ドローン配送サービスを本格化させる楽天に機体を提供するなど注目度が高い。相場急落に見舞われた18年末にマザーズ市場に新規上場し、初値は公開価格を大きく下回ったが、その後はレオスキャピタルの大量取得などを背景に値を戻した。ドローン市場の拡大による恩恵は他銘柄より大きいため、中長期的に注目すると面白そうだ。(本吉亮)
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