24日の米市場の時間外取引で次世代通信規格(5G)関連の半導体ザイリンクス(@XLNX/U)が急落している。通常取引の終値を12%ほど下回る123.23ドル前後で推移。取引終了後に公表した1~3月期決算で売上高は前年同期比23.1%増の8億2836万ドルだった。市場予想の8億2598万ドルを上回った。一株利益(EPS)も0.95ドルと市場予想の平均(0.94ドル)を上回った。
ただ、決算の直前になって一部のアナリストから市場平均の業績予想を上回る結果を期待する指摘が相次いでいた。株価も昨年末からの上昇率は64%に達していた。開示された業績にサプライズが乏しく、利益を確定する売りが優勢となっているようだ。
ノムラ・インスティネットは24日付のリポートで「通信分野での力強い成長を確認できたが、粗利益の減少が続く見通しで、足元の高い売上高の成長力がどこまで維持できるか疑問も残る」として、投資判断を「ニュートラル」に据え置いたもよう。
サントラスト・ロビンソン・ハンフリーのアナリストは決算開示後のメモで「売上高利益率が66%となり、市場想定の68.6%に届かなかった」としたうえで「実績と予想は共に良くも悪くもあり、最近の株高を支える材料としては不十分な内容」との見方を示した。
これに対し、ビクター・ペン最高経営責任者(CEO)は発表後の電話による決算説明会で強気の姿勢を崩さなかった。5Gについて「ごく初期の段階にすぎないので、私たちはピークには程遠い、ということも明確にしておきたい。5Gは非常に『野心的』であるためかなりの期間継続します。つまり、5Gは4Gよりもずっと大きな要因となる」と述べた。また「5Gは間違いなく成長の原動力であると考えている。そしてかなりの初期段階にあり、まだ終わっていないと指摘しておきたい」とも付け加えた。(岩切清司、松下隆介)
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