4日の欧州債券市場では欧州連合(EU)加盟国の多くの国債利回りが過去最低水準で推移した。ドイツの10年物国債利回りが中銀預金金利のマイナス0.40%を初めて下回った。ドイツ、フランスなどに続いて、ベルギーの10年債利回りもマイナス圏に「水没」した。
欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーを務めるフィンランド中銀のレーン総裁が4日、独紙とのインタビューでユーロ圏の景気減速について「一時的な落ち込みではない」との見解を示し、追加の金融緩和の必要性を示唆した。ECB次期総裁に国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事が指名されたことも、追加緩和の観測を後押ししている。
■各国の10年債利回り
モルガン・スタンレーは4日付のリポートで「ECBの金融緩和が再開されるだろう」と指摘した。具体的には①量的緩和(QE)を再開させるため、ソブリン債、社債、その他のクレジット物を購入する余地を設け、さらに緩和策は銀行与信にまで拡大する可能性がある②金利はさらにマイナス幅が拡大し、7月か9月に預金金利を10bp引き下げ、マイナス0.50%にすると予想する。市場が年内の利下げを織り込むなか、フォワードガイダンスを変更する可能性もある③これらの利下げなどは一緒に発表される可能性が高い。マイナス金利やバランスシートの拡大などの非伝統的な政策は、経済成長とインフレの影響が限定的ななかでここしばらく続くとみられる――と指摘していた。
独10年債利回りがECBの中銀預金金利を割り込んでも、独2年債利回りはマイナス0.767%、独3年債利回りはマイナス0.783%となっており、利回り曲線(イールドカーブ)はしっかりと立っている。「時間の経過に伴って利回りが低下する『ロールダウン効果』が大きく、この水準でも十分に投資妙味がある」(ファンドマネージャー)という。(丹下智博、片平正二)
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