QUICK企業価値研究所
「株主優待について、株主さまから多くの声をいただきます。株主総会の席や、株主優待申し込みはがきには、株主優待についてのご意見や期待などが寄せられます。それらのご意見はすべて目を通し、参考にさせていただいています」というのは、IR部 岸根氏。
1995年に社名を「福武書店」から「ベネッセコーポレーション」(現ベネッセホールディングス)に変更。また、その年に上場した。株主優待制度を導入したのは、その翌年の1996年だ。株主優待の歴史は20年を超える。上場した目的のひとつは、お客さまには株主に、株主にはお客さまにもなってもらい、さまざまな立場で会社を支援していただきたいと考えたためだという。そのため、株主優待制度は上場を機に導入し、事業内容を知り、体験してもらうために自社グループの商品・サービスを提供してきた。現在、個人株主は約4万人を抱える。
株主優待は、株主に商品・サービスを通じて会社を理解していただくきっかけ
ベネッセの主力事業である国内教育事業は、通信教育事業の「進研ゼミ」のほか、大学入試に向けた模擬試験「進研模試」や学校支援のサービス、塾・教室の運営等を行っている。
それに次ぐ主力となっているのは介護・保育事業だ。高齢者向け住宅サービス、在宅介護、配食等のサービスのほか、学童保育や保育施設を運営。さらにグローバル教育事業では「しまじろう」のキャラクターでおなじみの「こどもちゃれんじ」を国内外に展開。語学事業として語学教室や留学支援のサービス、生活事業として妊娠・出産・育児・暮らしに関する出版や通信販売等、人の生涯にわたって幅広く支援する事業を行っている。
ベネッセホールディングスの株主優待は、20種類近いメニューから選択できる。
株主優待で一番人気は「たまひよの内祝」で扱うカタログギフト・食品だという。「たまひよの内祝」は出産内祝いなどのギフト商品2000種類以上がそろう通信販売サービスだ。その人気商品を株主優待として提供している。
次いで安定した人気を誇るのは、ベネッセハウスの客室で使用しているバスタオルや、ホテルで販売しているオリーブオイルだという。ベネッセハウスは、1992年に香川県の直島(なおしま)に開館した美術館とホテルが一体になった施設だ。ちなみに、今年(2019年)は3年に1度、瀬戸内海の12の島と2つの港を舞台に開催される現代アートの祭典「瀬戸内国際芸術祭」の開催年だ。「直島は会場の1つで、今年のベネッセハウスの注目度は高いです」(IR部 岸根氏)という。特に50歳代以上の株主にはベネッセハウスの宿泊割引券も人気だという。
ベネッセのサービスは、「進研ゼミ」など継続受講が基本となっており、一部の商品・サービスを切り取って提供することが難しい。それを解決する優待品が「ベネッセカードポイントです」(IR部 岸根氏)という。「ベネッセカードポイント」は、ベネッセカード(クレジットカード)に付与するポイントで、「こどもちゃれんじ」「進研ゼミ」「いぬのきもち」など、ベネッセの商品・サービスの割引に使える。ベネッセの株主には30~50歳代の子育て世代が多い。そういった株主が、「こどもちゃれんじ」「進研ゼミ」の受講費の割引に使っている。また、株主優待を通じて、ベネッセカードの新たな入会も増えているそうだ。
介護・保育事業の紹介として、2019年3月期に「オリジナルとろみ調整食品」を追加した。とろみ調整食品とは、飲みもの等に加えて混ぜることで飲み込みやすいとろみをつけることができる粉末状の食品だ。「毎回、魅力的な株主優待品を提供することに腐心しています」(IR部 岸根氏)という。
株主からの声を活かした株主優待
株主優待の申し込みは、はがきによって行っている。その余白には、株主からの声が書き込まれていることもあり、株主優待アンケートを行うと多くの声が集まるという。
過去の優待品の復活を求める声もあるという。しまじろうをあしらった商品や幼児向け商品を株主優待のラインナップに入れなかった期もあった。しかし、リクエストの声がアンケートで多かったことから、2018年9月期に映画観賞券、2019年3月期にマスコットのネームタグを入れた。また、幼児向けの絵本を求める声もあり、2019年3月期のラインナップに入れた。
ベネッセホールディングスにとって、株主優待は株主に事業内容を知ってもらうきっかけになっている。また、株主からの声を収集する機会として、次の企画につながっているようだ。
≪対象株主≫
毎年3月31日および9月30日の最終株主名簿に記載された100株以上所有の株主。
※保有株数、保有年数にかかわらず、100株以上所有の株主に優待品1点を贈呈。
詳細はこちらのサイトを確認のこと。
幼児を対象とした「こどもちゃれんじ」や、小学生から高校生を対象とする「進研ゼミ」などを手掛ける国内教育サービスの最大手。「Benesse(よく生きる)」を企業理念に、中核事業の教育のほか、介護や出版、語学などの幅広い事業を展開。
主な傘下企業は、国内教育事業の中核を担うベネッセコーポレーションのほか、介護業界大手のベネッセスタイルケア、語学教育サービスの米Berlitz Corporation、個別指導塾を手掛ける東京個別指導学院など。日本で培った通信教育のノウハウを活用し、中国、台湾などの海外市場でも通信教育事業を手掛けている。
<売上構成>(19/3期連結、外部顧客への売上高): 国内教育事業44%、グローバルこどもちゃれんじ事業13%、介護・保育事業26%、ベルリッツ事業11%、その他6%。
1955年、岡山県で福武書店を設立し、中学向けの図書や生徒手帳の発行を開始。69年に通信教育講座を開講。95年、商号をベネッセコーポレーションに変更。2009年、持株会社体制へ移行し、現商号に変更。
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