いま保有している投資信託と組み合わせて別の投信を購入したいが、どんなファンドを選べばいいか分からない――。そんなときに参考になるのが「相関係数」だ。実際に購入可能なファンドを組み合わせ、QUICKの情報端末「Qr1」の銘柄比較機能を使ってリスクの分散効果を見ていく。
主に海外の不動産投資信託(REIT)に投資するタイプの投信で純資産総額(残高)が最大の「フィデリティ・USリート・ファンドB(為替ヘッジなし)」(3231203C)について、組み合わせに適したファンドを探す。
まず検証するのは、値動きの異なる「ひふみプラス」(9C311125)との相性。国内の株式に投資する「国内株式型」で、フィデリティUSリートBが属する「海外REIT型」との相関係数(日次1年)は0.49と低めだ。
両ファンドに50%ずつ1対1の割合で投資した「合成」のリターン(分配金再投資ベース、週次1年・年率)は12.27%。「フィデリティ・USリート・ファンドB」だけに投資した場合の▲3.30%と「ひふみプラス」だけに投資した27.85%の中間だった。
価格変動を示すリスク(標準偏差、週次1年・年率)は「フィデリティ・USリート・ファンドB」だけに投資した場合が13.23%で、「ひふみプラス」は15.55%。2ファンドの平均を単純に計算すると14.39%になる。ところが実際にこの組み合わせで同額ずつ投資した「合成」のリスクは12.62%で、平均値より1.77ポイント低くなる(図1参照)。この差がリスク低減の効果だ。
<QUICKの情報端末「Qr1」を使って簡単に比較>
次に比較的近い値動きをする「先進国株式型」の「ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型)」(42311052)との組み合わせを見てみる。「海外REIT型」と「先進国株式型」の相関係数は0.75と高い。
「合成」のリターンは▲1.11%で、「フィデリティ・USリート・ファンドB」と「ピクテグローバルインカム株式F(毎月)」の中間の値になった。「合成」のリスクは10.68%で、2ファンドの平均(11.93%)を1.25ポイント下回る(図2参照)。
リスク低減効果は値動きの異なる「海外REIT型」と「国内株式型」の組み合わせの方が大きくなった。
このようにリターンはどちらの組み合わせでも2つのファンドを足して半分にした数値を維持する一方、リスクの低減幅は相関が低い組み合わせの方が大きくなった。複数のファンドに投資して分散効果を上げるには、相関が低く値動きの傾向が異なるファンドの組み合わせが有効と言える。
(QUICK資産運用研究所 望月瑞希)