投資信託の分配金は運用実績に応じた変動が好ましく、元本の取り崩しは容認できない--。三菱UFJ国際投信が55歳以上の退職者層を対象に実施したアンケートでは、元本を取り崩しても定額で分配金を受け取れる投信の否定派が肯定派を上回った。
■退職者層3723人を対象にアンケート、分配金よりパフォーマンス重視
三菱UFJ国際投信は長寿高齢化社会の到来を示す「人生100年時代」をテーマとして、定年退職後の資産運用に関する調査を今年3月下旬に実施した。対象者は「55歳以上で、定年退職者もしくは現役層で、保険・不動産を除く金融資産(現役層は見込み退職金を含む)が1000万円以上」で、3723人から回答を得た。
隔月で一定額を分配するバランス型投信を提示したうえで、分配金について【A】運用実績に応じ、分配金が変わるほうがよい【B】運用実績にかかわらず、分配金は一定がよい--のどちらが好ましいか聞いたところ、変動支持派(「Aに近い」「Aにやや近い」の合計)が50.9%と、定額支持派(「Bに近い」「Bにやや近い」の合計)の28.1%を大幅に上回った。
【A】元本を取り崩しても、分配金としてもらえたほうが預金を取り崩すよりお金を使うことに抵抗感がない【B】元本を取り崩すなら、預金から必要に応じて引き出し、お金を使うため、分配金は不要--の選択では、取り崩し否定派(「Bに近い」「Bにやや近い」の合計)が44.5%と、肯定派(「Aに近い」「Aにやや近い」の合計)の28.9%より多かった。
退職後の資産運用に使う投信選びでは「定額の分配金よりも運用パフォーマンスを重視」とする人が多いようだ。調査対象者の大半が既に投資経験があるため、運用成績が冴えない中での分配金は元本を取り崩して支払われるという仕組みを理解していることが結果に反映したと言えそうだ。
■資産運用を始めるべき年齢は「10代~34歳」が6割超す
何らかの投資を始めた年齢はまちまちだったが、全体の8割強で投資経験があった。また資産運用を始めるべき年齢は「30~34歳」が全体の21.6%で首位。「10代」~「30~34歳」の合計で全体の6割を超えた。一方で、「資産運用は必要なし」との回答も8.2%あった。
定年退職前の人は退職後には「生活水準が下がる」(「どちらかと言えば」を含む)が7割強を占めたの対し、実際に退職した人では「生活水準は変わらない、上がった」が過半数を占めた。
メイン口座としている金融機関は、地方銀行が28.7%で首位。三菱UFJ銀行(15.9%)、ゆうちょ銀行(14.5%)、三井住友銀行(10.5%)、みずほ銀行(8.4%)と続いた。
(QUICK資産運用研究所 高瀬浩)