国の省庁が集まる東京・霞が関にある文部科学省の講堂が20日夜、中央省庁に勤務する職員で埋め尽くされた。内閣官房内閣人事局、金融庁と厚生労働省が合同で開いた「霞が関iDeCo・つみたてNISAセミナー」に参加するためだ。
■ライフプランに基づいた資産運用の考え方を解説
講師は独立系ファイナンシャルプランナー(FP)の神戸孝氏が務め、「ライフプランに基づいた資産運用の考え方とiDeCo・つみたてNISAの活用方法」と題した40ページあまりの資料をもとに、1時間半にわたって資産運用の考え方について説いた。
参加者は600人を超え、男女比は6対4、年齢は20、30、40歳代がそれぞれ3割前後だった。
神戸氏は「なぜ資産運用が必要か」「ライフプランとはどんなものでどう設計するか」「資産を運用するうえでのポートフォリオの作り方やメンテナンス方法」といった資産形成・資産運用の重要性や具体的な方法を解説。資産運用を2つに色分けし、儲けるためにドキドキ感のある「趣味としての投資」と、退屈で面白くないがお金に働いてもらう「仕事としての運用」があると強調した。個人型確定拠出年金(iDeCo)や積み立て型の少額投資非課税制度(つみたてNISA)の説明は概略にとどめた。
■セミナー後に質問の列
金融庁はつみたてNISAの浸透策のひとつとして、働く職場を通じて普及を図る「職場つみたてNISA」の活用に力を入れている。中央省庁職員が率先して職場つみたてNISAを活用するのは、「まずは隗(かい)より始めよ」として国民に資産形成の手本を示す意味合いからも重要だ。今回の大規模セミナーはそのきっかけになりそうだ。
参加者は熱心に耳を傾け、真剣な面持ちでペンを走らせていた。講演後も20人近くが会場に残り、神戸氏への質問の順番待ちの列を作った。一般NISAとつみたてNISAの使い分け方法、アクティブファンドを選ぶ際のポイントなどの質問をぶつけた。1度目の質問を終えてからまた列に戻り、2度目の質問をしていた女性もいた。
セミナー開始前にも、テーブルに置かれた銀行や証券会社、生命保険会社の関連販売資料を受け取るために、大勢が列をなすなど、資産運用への関心の高まりがうかがえるセミナーとなった。中央省庁職員が自らの資産形成にも本腰を入れ始めた。
(QUICK資産運用研究所 高瀬浩)