資産運用の相談役として独立系金融アドバイザー(IFA)の存在感がじわりと高まってきた。老後の資産づくりやより豊かな生活を送るために長期の資産形成に関心を持つ人が増えてきたことが背景だ。
QUICK資産運用研究所は2018年9月に初めて「IFA実態調査」を実施し、IFAの収益環境や業務状況などを聞いた。調査対象は三大都市圏に本社を置く金融商品仲介業者に所属または個人として外務員登録しているIFAで、日経リサーチを通じてアンケートを実施し、200人から回答を得た。
■過半が50代以上、経験年数の中央値は5年
IFAの年齢層は50代が最多の36%で、50代以上が過半を占めた(図1)。IFA登録をしてからの経過年数は中央値が5年で、全体の半分が0~5年にとどまった(図2)。
IFAになる直前の経歴をきいたところ、証券会社が最多の42.0%となり、上位には保険代理店、税務・会計事務所、生命保険会社、ファイナンシャルプランナーが並んだ(図3)。
■預かり資産の規模は経歴で差
IFAに顧客の預かり資産規模(残高)と投信口座数、金融商品取引業者としての年間売上高を聞いたところ、IFAになる直前の経歴によって差が出た。図4は経歴別の平均値を表したグラフだ。横軸に投信口座数、縦軸に年間売上高をとり、2軸の中に配置した円(バブル)の大きさは預かり残高を表している。
(図4)IFAの経歴別 顧客規模(※預かり残高の平均が1億円以上の経歴のみ表示)
預かり残高(平均)のトップ3は、バブルが大きい順に1位が証券会社(10.9億円)、2位がその他(10.0億円)、3位が投資顧問業(9.5億円)となっている。
年間売上高(平均)は、1位がファイナンシャルプランナー(1.1億円)、2位が証券会社(0.2億円)、3位がその他(0.1億円)だった。投信口座数(平均)は、1位が生命保険会社(50口座)、2位が保険代理店(49口座)、3位がファイナンシャルプランナー(44口座)。「その他」では、海外プライベートバンクで働いた経歴を持つIFAが預かり残高と売上高を押し上げた。
(QUICK資産運用研究所 中田裕子)